男前豆腐店に学ぶブランディング
2006.06.28 18:08 written by ishihara カテゴリ:経営のヒント
先週は、突如「男前豆腐逮捕!」のニュースが流れ、びっくりさせられましたね。ちょうど、このブログをはじめ、私も色々なところで「男前豆腐」にことをしゃべっていたので、逆に心配のメールをいただき、ブログの記事も一旦削除しました(ーー;)
事件というのは、「豆腐を製造する際に発生した大豆の皮などの産業廃棄物を、同店の敷地内で焼却したことによる廃棄物処理法違反」で、どうやら、会社の急成長に、管理者の成長が追いつかなかったようです。問題を起こしてしまったにせよ、この会社のビジネスそのものや戦略には、学ぶべきところが多いと思いますので、もう一度この記事を公開したいと思います。冷静な判断力を持って、学ぶべきところを学んでください。
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みなさん「男前豆腐」ってご存知ですか?このところ、私の主催する高収益トップ3%倶楽部の勉強会で話したり、会員向けの「経営情報レポート」にも詳しく解説したりしているのですが、経営者の方で、今、この男前豆腐を知らない方は、ちょっとヤバイかもしれません
(ーー;)
男前豆腐店の世界観を知るには、そのホームページを見てみるのが手っ取り早いでしょう。上の画像をクリックすると、「男前豆腐店」のホームページに飛びますが、くれぐれも静まり返ったオフィスで開かないようご注意ください(笑)。
いかがです?私も初めて見たときは、あまりのインパクトにあっけにとられ、しばし呆然と見入ってしまいました・・・が、次の瞬間には、「このページ誰が作ってるか調べて!」と社内で指示を出していました(*^^)v
このホームページから流れる音楽も全部社長自ら作っているそうですから、一見趣味でやっている会社のように思えますが、ところがどうして、この男前豆腐は、主力商品だけで1日12万パックを出荷し、年商50億を誇る規模に急成長した立派な企業なのです。
男前豆腐店の社長は、伊藤“ジョニー”信吾さんといいますが、茨城の豆腐メーカーの2代目に生まれたものの、どうしても既存の豆腐には満足できず、自ら研究に研究を重ねて、飛びっきり上等の豆腐を作り上げた人物です。男前豆腐は、豆腐というより、プリンやレアチーズのような食感で、もちろん味も最高です!
しかし、ここからが彼のすごいところで、「良いものは売れる」とか「美味しければ売れる」と安易に考えず、そのネーミングからパッケージデザイン、販売戦略など、すべて自分のこだわり通りに進めていったのです。ちなみに、一番人気の豆腐は「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」という名前の豆腐です。一度聞いたら忘れられませんよね(@^^)/~~~
男前豆腐のネーミングやデザインは、言ってみれば「カッコイイとカッコ悪いの交差するギリギリの線」を狙っていて、そのちょっとハズした感じがウケてるんでしょう。豆腐や湯葉といえば、健康とか高級感といったイメージを打ち出したり、「○○小町」みたいな女性名詞の商品がほとんどで、ターゲットも完璧に女性でしたよね。そんな中で、墨一色の『男』の文字は、はっきりいって浮きまくってます。
でも、この「ミスマッチ」感覚が、ブランディングの勝因なんです。もちろん、これは売っている商品が本物で、びっくりするほど美味しいからこそ成功したわけで、形だけ真似してもうまくいくものではありませんが、得てして良い商品を作っている職人気質の会社は、「売り方」がヘタだったりすることが多いので、この男前豆腐の戦略を良く研究されるといいと思いますよ。
『世の中は自分のためにお金を出して実験してくれている』と、私はよく言いますが、世の中の成功事例を指をくわえて眺めているだけでなく、そこから掴んだヒントを、ひとつでもふたつでも、自らの経営に活かしていきましょう(*^^)v