『やわらか戦車』にみる商品開発の今後
2006.08.25 12:00 written by ishihara カテゴリ:経営のヒント
前回は、日々ものすごいアクセス数をはじき出すアメリカの映像ポータルサイト「YouTube」のサーバーを落とした日本のアニメのお話をしました。
『涼宮ハルヒの憂鬱(すずみやはるひのゆううつ)』っていうアニメなんですけど、なんと!ファンの中から主人公がアニメの中でやっているゲームを勝手に開発する人まで現れたんでしたよね(~o~)
こんな風に、今や「商品開発」の世界にも全く新しいムーブメントが起きているのをご存知でしょうか?まずは、日本版YouTubeともいえるサイトで、爆発的にヒットしているこの『やわらか戦車』というショートアニメを見てみてください・・・ただし、見る時は場所を選ぶこと!静かなオフィスでいきなりクリックすると、部下のヒンシュクを買うかもしれませんよ(ーー;)
このサイトは、ファンワークスとライブドアの共同プロデュースにより実現した「等身大の近未来アニメサイト!」で、『ネトアニ(=ネットアニメ)ランキング』には、ユニークな作品がどんどん集まってきています。
それもそのはず。このサイトは、「技術の進歩でこれだけ映像を扱うのが簡単になってきたんだから、自由に映像を載せられる“インフラ”を作ってあげれば、自分の作品を発表したい人はたくさんいるだろう!」と企画されたものですから、その読み、みごと的中というわけです(*^^)v
さらに注目すべきはここからの展開で、「やわらか戦車連合軍」なるものが立ち上がり、ブログ上でワイワイ盛り上がりながら、勝手に関連グッズを作りはじめたんです。しかも、盛り上がっているのは単なるアニメファンではなく、角川やバンプレストといった錚々たる企業たち。
『Web2.0社会』では『オープンソース』が基本ですから、こんな展開もありなんですね(*^^)v
これまでのキャラクタービジネスといえば、メーカーがものすごい金額を投資してキャラクターを開発し、巨額の宣伝広告費を投じメディアを使ってバンバン売り出し、結果、そのキャラクターのライセンスで儲ける・・・みたいな展開でしたが、もはや時代は確実にシフトしたんですね。
このやわらか戦車では、自ら名乗りを挙げれば、誰でも勝手に「やわらか戦車グッズ」を作っていいんですって!こんな展開信じられます??
実際、「は~い」と手を上げた企業が、ぬいぐるみやTシャツ、ポストカードといったキャラクターグッズから、着うた、着メロまでを作り始めているのです。しかも、“ブログ”というツールを使いみんなで知恵を出し合って、どんどん良くしようとする、まさにネット社会ならではの展開に感心してしまいます。
こんな感じで、次々ヒット商品が生まれるような世の中になれば、メーカー自らキャラクターを作る苦労もなくなるわけで、ということは、開発スタッフに高いギャラを払う必要もなく、しかも「ヒットは確実」という感触を掴んだ上で参入できる・・・もはや「発想」を変えないと、時代から取り残されてしまいそうですよね。
今までの世の中では、人気キャラクターを作ることのできた「ひとつ」の企業だけに富がもたらされてきたわけですが、どうやらそんな構図は通用しなくなりそうです。
今後は、まさに「企業連合軍」みたいなイメージで、優秀な企業、そして感性のいい企業たちがタッグを組み、消費者と向き合っていくような世の中になるのではないでしょうか。
さぁ、経営者の方は、こうした時流をいち早く自社のマーケティングに取り入れる準備を始めてくださーい(@^^)/~~~ ビジネスの主導権は、「情報」を持った人にあるのです。