ブログ「石原明の経営のヒント」

番号ポータビリティ制度で携帯電話は変わるのか?!

携帯電話の契約会社を変えても、番号はそのままでOK!という「番号ポータビリティ」制度が始まって早3週間たちました。各メディアでは盛んに、各社の激戦ぶりを報道していますし、携帯各社のCMもガンガン流れていますが、果たしてあなたの周りに、この制度を利用して携帯会社を乗り換えた方がどのくらいいるでしょうか?

先日の朝日新聞でも、この番号ポータビリティ制度についてのちょっとおもしろい調査結果を発表していたので、取り上げてみたいと思います。

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これは、制度導入前に行った調査のようですが、朝日新聞社の「beモニター」2,785名に、「あなたは携帯電話を乗り換えますか?」という質問をしたところ、「乗り換えを計画している」と答えた人は、わずか2%…(@_@;)「動向を模様眺めしている」と答えた人が18%という結果だったのです。

サービスや価格競争に血道を上げ、キャンペーンや宣伝広告を派手に展開する携帯各社の過熱ぶりと比べて、こうしたユーザーの冷めた態度が印象的です。世間はこんなに騒いでいるというのに、どうやら「市場」はそんなに反応していないみたいです。

「機種を変えると、また一から操作覚えるのがめんどくさい」なんて声もあったようですが、最近の携帯には、山ほどいろんな機能が付いていますから、スムーズな操作を覚えるのもだんだん難しくなり、使いこなすには「慣れ」が必要です。

急に思い出してしまいましたが、その昔、私はヤマハ発動機という会社に勤めていて、バイクの営業をしていたことがあるんですが、ヤマハのバイクは業界1位のホンダのバイクと電気系統が違っていたんです。ヤマハの方が後発だったので、バイク店の店主からは、「また一から覚えるのが面倒くさい!」という理由で、随分断られたものです・・・(ーー;)

こんな風に、「メーカーが商品開発にかける熱意」と「ユーザーが本当に求めるもの」の間には、その昔から思わぬギャップがあったのです。

「商品を売ろう」と思えば、その商品の「付加価値」を高めることが必要です。ですから、メーカーとしては、つい、いろいろな機能を盛り込みたくなる気持ちもわかりますが、実際その商品のすべての機能を使いこなしている人は意外に少ないのではないでしょうか。

というのも、人はいざ「買う」となった時には、最高のスペックを求めるものですが、一旦それが自分のものになってしまうとすっかり安心するのか、携帯電話の場合も、電話とメール、たまにカメラ・・・みたいに、案外シンプルな機能しか使わないものなんです。パソコンを選ぶ時も、こんな感じじゃなかったでしょうか。

一昔前のパソコンは、はじめからいろいろなソフトがインストールされているものが主流でした。ユーザー側も、買うときは、「これにはこんなソフトも入ってるんだ!」なんて、わくわくしながら各メーカーのカタログを見比べたりしたものですが、いざパソコンが自分のものになると、ま~ったく使わないソフトだらけじゃありませんでしたか?

というわけで、最近のパソコンは、ほとんど基本的なソフトしか入れないで、その分価格を下げるという方向に持っていくことで、過渡期を抜けた感があります。今後、携帯電話もおそらくこっちの方向シフトするんじゃないかと思います。

同じアジア圏でも、香港では、携帯電話に挿すカードを変えるだけで、契約会社を変えられるシステムが導入されています。つまり、ハード=電話機は、どこの会社でも使える、共通機種なのです。ですから、香港での「番号ポータビリティ」利用率は、86.3%もあるんです。

日本もこうなればいいですよねぇ・・・まぁ、それはともかく、日本ではまだまだ、携帯各社の「新機種争い」が続くでしょうが、どこか一社でも「逆にハンドルを切った商品開発」に特化するとおもしろいんですけどね(*^^)v

例えば、ここ最近、年配者向けの携帯もかなり人気が高いようですが、若者向けにも、機能を絞り込んで、シンプルでデザイン性の高い機種なんかを真剣に作れば、かなりウケるような気がします。

商品開発の方向性という意味からも、番号ポータビリティ制度導入後の携帯業界の今後を、興味深く見守りたいと思います(@^^)/~~~

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