ブログ「石原明の経営のヒント」

バームクーヘンのイメージを変えた男

今日はお菓子の「バームクーヘン」のお話です。バームクーヘンといえば、結婚式の引き出物に使われるパサパサしたお菓子みたいなイメージでしたが、その「バームクーヘンのイメージを一変させた男」がいるんです。

その男とは、130年あまり前、滋賀県近江市で創業した和洋菓子店たねやグループの次男・山本隆夫さんって方なんですが、店内に何本もバームクーヘンを吊り下げ、買い物客の前で、切り分けて売る手法が話題になり、梅田阪急や日本橋三越のテナントは一躍人気店となりました。

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そもそも、バームクーヘンってどうやって作っているかご存知ですか?380度前後に熱したオーブン内で回転する心棒に、トレーに入れた生地を近づけ、巻きつかせるように1枚1枚焼き重ねるという作業を、20~30回もひたすら繰り返すんですって(@_@;)

すると、あの年輪が現れるんですが、その日の気温や湿度によって変わる生地の状態に合わせて、材料を混ぜ、焼き加減を調節する技は、経験と勘だけが頼りという、まさに職人技の世界なんです。ふんわり焼きあがったバームクーヘンは、丸太棒のようですね(*^_^*)

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彼は、96年に役員に就任したそうですが、当時の売れ筋商品は「リーフパイ」。このバームクーヘンは、手間がかかるわりには、ほとんど売れなかったようです。「味には自信があるのに、なぜ売れないのか・・・」悩み抜いた彼の脳裏に、ふとある光景が浮かんだそうです。

それは、新入社員研修でのこと。ある日工場見学をしている時に、新入社員から「わーっ!」と歓声が上がった瞬間があったんだそうです。職人が、焼きあがったバームクーヘンをオーブンから取り出し、壁に吊り下げた瞬間でした。

長さ60cm,、直径18cm、重さは5kgを超える丸太のようなバームクーヘンが壁一面に吊り下げられた様は、まさに壮観。「これだ!」と思い立った山本さんは、99年、大阪梅田の阪急百貨店に「B-studio1号店」を出店したのです。

04年には東京・日本橋三越本店のB-studioを、焼きたてのバームクーヘンを食べられるカフェ併設タイプにリニューアルし、こちらも人気を呼んでいます。

こうした努力の結果、山本さんは04年のジャパン・ケーキショーで最高位を受賞。今年5月には、国際的なコンクールで三ツ星に選ばれたそうです。売上も好調で、昨年の洋菓子部門の売上高約35億円のうち、バームクーヘンが70%(=約25億円)を占めるまでとなったみたいです(*^^)v

そもそも老舗の和菓子店だった「たねや」の経営には、近江商人の「売り手よし、買い手よし、世間よし」の『三法よし』の理念が生きているそうですが、企業が何百年も継続発展を続けるためには、「変わる部分と変わらない部分のバランスを上手に取る」必要があります。

近江商人の理念を受け継ぎつつも、売り方は時代に合わせて常に変化させていく・・・老舗の経営を学ぶいい事例だと思いますので、ぜひ参考にしてください(@^^)/~~~

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