ブログ「石原明の経営のヒント」

松坂移籍とこれからの球団経営

先日23日に行われた西武ライオンズのファン感謝イベントには、昨年より8千人ほど多い約3万6千人のファンが集まり、米大リーグ「レッドソックス」への移籍が確実な松坂大輔投手に、ファンたちは熱い声援を贈ったようです。

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みなさんご存知のとおり、レッドソックスは、ポスティングシステム(入札制度)で移籍を目指す松坂選手との独占交渉権を、5,111万1,111ドル11セント(=約60億円)で獲得。30日間の交渉期間に入っているわけですが、こんな動きを見ていると、日本プロ野球界の球団経営も、大きく変わらざるをえない時代が到来したのを感じます。

球団といえどもひとつの企業ですから、どんなに人気があろうと、経営的にうまくいっていなければ生き残っていけません。聞くところによると、西武ライオンズの年間赤字は20億にも上っていたといいます。それが、今度の松坂の交渉権で3年分の赤字が埋まってしまうわけですから、一気に経営難を逃れたことになるわけです。

このお金で、インボイス西武球場の滑りやすかった人工芝を植え替えるなど、早速球場の改修が行われるなんて話も出ていて、所沢に「松坂の銅像」が建つとも言われています!(^^)!

今までの日本のプロ野球は、いい悪いは別として「巨人」がゴールみたいなところがありました。それが、大リーグへの道が開かれたことで、日本の球団経営も、プロ野球に入ってくる若い選手たちの発想も全然変わってしまうことになります。

言うなれば、球団に選手を育てる能力さえあれば、若い選手を育て、ポスティングシステムで大きな収益を得るというビジネスモデルが出来上がったわけです。であれば、ドラフトの重要性もさほどなくなるわけで、逆に言えば、あまり人気のない球団に入り、たくさん試合に出してもらって経験を積んだ方が、選手にとって有利だとも言えるわけで、まさに、プロ野球界のパラダイムシフトって感じです。

なんで、こんな風になってしまうかと言えば、つまり「マーケットの違い」なんです。たとえ日本のプロ野球界のトップに立ったと言っても、宣伝広告効果の面から考えたら、大したことはないわけです。年間巨人の帽子が何個売れるかって考えても、あくまでもマーケットは国内ですからそんなに多くはないと思います。それが、ヤンキーズのユニフォームだったら・・・世界中がマーケットなわけですから、規模が違います。マーケット規模を考えれば、レッドソックスが西武に払う60億も全然高くないわけです(*^^)v

今や日本の国技である大相撲にも随分と変化が起こっているようですが、「マーケットが開放」された時はこんな風に大変革が起こるものなんです。こんな大変革期には、経営の仕方も、発想もすべてを切り替えていく必要がありますから、その変化に乗り遅れたら終わりって感じです(ーー;)

どんな業界でも、そしていつの時代も、経営者に求められるのは「変化の芽」を捉える力なんですね。松坂移籍のニュースから、そんなことを強く感じてしまいました(@^^)/~~~

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