ブログ「石原明の経営のヒント」

凡事徹底 -平凡を非凡に努める-

「凡事徹底」、最近はあまり聞かれなくなってしまった言葉です。その意味は、「何気ないことでも、それを徹底してやり通す」という意味ですが、これを実際に行動に移せている人は、意外と少ないと思います。

ゴールデンウィークも明け、4月に入社した新人も、そろそろ配属部署が決まる頃かと思いますが、どこの部署に配属されても、最初はそれこそ平凡な仕事ばかり与えられると思いますから、その現実とどう向き合うか・・・そういう面からも、本書は若い世代の人にもどんどん読んでもらいたい1冊です。

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致知出版 1500円(税込)

著者の鍵山秀三郎氏は、ローヤル(現・イエローハット)の創業者ですが、30年以上「人に迷惑をかけない」「人を喜ばせる」を信条に、“掃除”を実践してきた方です。しかし本書は、「掃除をすれば幸運が舞い込む」といった表面的なノウハウ本の類ではなく、『平凡を非凡に努める』と著者自ら表現するとおり、平凡なことでも、長い期間ずっと続けていくことで、やがてそれは「高み」へ昇華する、という大変深い内容を教えてくれています。

むやみに掃除を推奨するわけではありませんが、たとえば「磨く」という一見単純な行為からも、多いに学べることがあるものです。いきなり床全体を磨こうとすると、とてもおおごとで気が重いですが、「まず30cm四方を磨いてみよう」と考えるとどうでしょうか?

集中して磨くことで、いつのまにか気分もハイになりますし(これを私は「お掃除ハイ」って呼んでいます(*^^)v)、そこがキレイになると、まわりと明らかに違いますから、つい嬉しくなって、隣の30cm四方も磨きたくなるものです。

これを繰り返していくと・・・いつのまにか部屋全体の床がピカピカになっている、ってわけなんです。掃除には、「気持ちの浄化」という副産物もあるので、結構いいと思いますが、何も掃除じゃなくてもいいですから、「繰り返しやり続けること」を持つことが重要なのです。

例えば、ただ「走る」という行為でも、毎日地道なトレーニングを積んだアスリートの走りは、私たちに大きな感動を与えてくれます。あのイチローも、毎日黙々とバットを振り続けた結果、大リーグという夢の舞台で、世界中の人たちに注目され、私たちに感動を与え続けてくれています。いずれも、「続けることで極めた境地」です。

自分も含め、自己中心的な人が増えている今の世の中で、鍵山氏のこうした信条は、非常に重要かつ、新鮮なものであるとあらためて感じます。あなたは何か「繰り返しやり続けること」を持っていますか?経営者自らがそれを実践することは、会社全体に想像以上の効用をもたらすはずです。ぜひ実践してみてください(@^^)/~~~


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