ブログ「石原明の経営のヒント」

聴診器ブックのヒットに思う

医療用の聴診器とその解説本がセットになった「聴診器ブック」がヒットしているようです。重版が追いつかず、現在品切れ中のようですが、この本は、私もアドバイザリボードに参加している「経営者会報ブログ」を主宰する日本実業出版社の本で、担当者も連日殺到するマスコミの取材対応に追われ大忙しだそうです。

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著者は、開業医の桐生迪介さん。「聴診器は糸電話のように単純な道具だけど非常に優れている。医者や看護婦だけが使うのはもったいない」と考え、人を介して出版社に企画を提出したんだそうです。

当初は「実験本」の扱いで、価格は2,415円。初版7,500部でスタートを切りましたが、一般書籍と同じ流通に乗せ、3月に発売開始したところ、すぐに売り切れ、重版。7月には4刷4万部に達する見通しだそうです(*^^)v

読者は、小さな子どものいる母親や、夫のメタボリック症候群を心配する奥さんたちなど、30~40代の女性が多いようですが、妊婦が胎児の音を聞いたり、ペットの心臓音を聞いたり……おおよそ想定外の使われ方もしているみたいです。

「自分の心臓の音、聞いてみたくないですか?」なんて改めて言われると、なんだか1回ぐらい聞いてみたくなりますよね。普段は「聴診器を欲しい」なんて考えている人はほとんどいないと思いますが、企画や切り口しだいで、新しいマーケットが生まれるという意味でも、よいヒントになります(*^^)v

「本」という形をとったのも正解で、書店は全国に5000店以上もあるわけですから、話題性のある本となれば、それぞれの店長さんたちが、一斉に営業マンとなって宣伝してくれるわけです。

ここ最近本の売れない時代が続いていますから、書店側も「売れる」本は、のどから手が出るほど欲しいはず。ひと昔前は、形状の変わった本を扱うのをとってもイヤがったものですが、書店の体質もずいぶん変わったんでしょうか……。

本にCDやDVDが付いているのは珍しくなくなりましたが、聴診器となると、かなりインパクトがあります。このヒットを真似て、今後はこうした商品が増えてくるかもしれませんね。もともとある販売拠点に違う形態のものを流通させるというとてもいい事例なので、ぜひ参考にしてください(@^^)/~~~

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