ブログ「石原明の経営のヒント」

広告や露出を“限定する”発想

これまでの広告宣伝といえば、「いかに効率よく多くの人に知ってもらうか」の戦いのようなものでしたが、その対極にある『限定する』発想で、広告宣伝を始めた企業があります。

ビクターエンターテイメントでは、この9月から、実在するダンスミュージック系新人女性歌手「KEI」の宣伝活動を、インターネット仮想空間のセカンドライフ内だけで始めることを決めたそうです。

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セカンドライフについては、以前もこのブログに書きましたが、セカンドライフ内のイベント会場で、アバターと呼ばれるKEIの分身がコンサートや交流会を開き、実社会のテレビに出たり、実際のコンサートを行ったりは一切しない予定だそうです。

これは、宣伝費を大幅に減らせる上に、セカンドライフからアップルのネット配信サイト「iTunesストア」などに利用者を誘導することで、音楽配信を増やす狙いもあるようですが、果たしてもくろみどおりに行くかとうか…しばし見守りたいところです。

一方、4人のメンバー全員が歯科医を志す現役医大生という異色のバンド「GreeeeN(グリーン)」のファーストアルバム「あっ、ども。はじめまして」が、かなりの売れゆきを見せているようです。

最高2位をマークしたこのアルバムですが、「GreeeeN(グリーン)」は学業との両立を理由に、テレビや雑誌に一切顔を露出しないばかりか、販促映像にも徹底的に登場しないという、おもしろいバンドなんです。

その露出の少なさが、逆に話題を呼んでいるのも確かで、主なファン層は、10代~20代だけに、パソコンや携帯電話による販促活動に力を入れてきたようです。

発売に先駆けて、携帯用の着メロを配信したり、ミクシィ内で販促映像を流したり…その結果、デビュー半年ながら、シングル曲がテレビ番組などのテーマ曲に採用されています。

こんなふうに、「限定した」宣伝活動ができるのは、もちろんインターネットや携帯電話が普及したからこそではありますが、これからの世の中では、人とはちょっと違った角度の発想力を持つことが、かなり大事になると思います。

「万人ウケする」商品やサービス、一斉に仕掛ける宣伝活動で“ヒット”が作れた時代は、すでに終焉を迎えたのかもしれません。この事例を参考に、自社の戦略を冷静に見直してみてください(@^^)/~~~

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