ブログ「石原明の経営のヒント」

今年の新入社員 目標は『部長』!?

先日、新聞で面白い記事を読みました。産業能率大学が今月初めに発表した調査結果なんですが、その調査というのは、今年入社した全国の新入社員750人(有効回答数668人)を対象にした「2007年度・新入社員の会社生活調査」なんです。調査結果によると、最終目標とする役職に『部長クラス』を挙げる新人が17.1%を占め、ランキング首位になったそうです。

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   (写真はイメージです)

部長クラスが首位になったのは、04年以来3年ぶりで、前年度の同調査より、3.1ポイントの増加なのだそうです。ちなみに、2位は「役員」(16.9%)、前年度のトップだった「社長」は、3.6%減の12.0%で、3位に転落したようです。

「社長」の椅子を狙う新入社員の比率は、1990年の調査開始以来、過去最低の数字だそうです。同大学では、若者の競争意識の低下に加え、「企業の不祥事などでトップが謝罪する場面が多く、責任の少ない役職に人気が集まったのではないか」と分析しているようですが、果たして真意のほどはどこにあるのでしょうか…。

私の率直な感想としては、新人たちが入社早々、そんなに明確に自らの意思を固めていると思えませんから、企業側のアプローチが変化したことで新入社員たちの意識が少しずつ変わりつつある、という段階ではないかと思います。

どういうことかというと、不況の時代には、企業が人を抱えていくこと自体に大いなる不安があったわけで、そういう時代下では、「優秀な人間はいつでも転職できる」とか「荒野を目指して起業するのもカッコイイ」みたいに、あえて見せていた部分もあるんじゃないかと思います。

しかし、今や、景気回復に伴い「人余り」は完全に解消しました。そうなると、企業は採用した人に、いかに長く働いてもらえるを考えなければなりません。最近では入社前から、「当社で長く働いて欲しい」的なアプローチをしている企業も多いと思います。

それを受け、新人たちにも「1社に長く勤めよう」というメンタリティが芽生え始めているのではないか、と思うわけですが、現に、終身雇用制度を望む新入社員は、昨年より4.1%上昇し、67.8%と過去最高を記録したそうです。「新入社員は3年で辞める」みたいな傾向は、遠い過去のものとなったようです。

バブル崩壊以来、長い不況の時代下で「安価な労働力」に頼って組み立てられたビジネスモデルは、もうすでに通用しなくなっています。企業にとって、人材の採用と教育の問題は、経営における最も重要なファクターですから、経営者の頭が、いつまでも過去のままだと、時代とのズレは大きくなるばかりです(ーー;) いつの時代も、経営者は、時代の変化に敏感でいる必要があるようです(@^^)/~~~


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