ブログ「石原明の経営のヒント」

「プチプチ」から広がる世界

その昔、贈答品のクッキーの缶などに入っていたあのシートを「プチッ」とつぶした経験は誰にでもあるんじゃないかと思いますが、最近「プチプチ」の世界が限りなく広がりを見せているのをご存じでしょうか。

このプチプチ、業界では「エア・バッグ」「気泡シート」「気泡緩衝材」なんて呼ばれていたそうですが、もっと親しみを持って呼んでもらいたいと、市場シェアの43%を握る業界最大手の川上産業が、通称の「プチプチ」を登録商標にしたんです。

その上、「プチプチ文化研究所」というシンクタンクまで発足。独自のアイディアで、ユニークなプチプチグッズを世に送り出しています。自社で運営するネットショップでの販売もしていて、これがテストマーケティングの役割もしているのでしょう。

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この写真は、気泡のひとつひとつを「ハート」の形にし、ラッピングなどに利用してもらおうと企画した「カラフルハートシリーズ」。クッション材として包装紙の中にこっそり存在していたプチプチを、堂々と表に出してあげたわけです。

また、梱包財としてではなく、あくまでも「つぶす」ことを目的とした商品として、「プッチンスカット」という商品も発売。10センチ角のシートが15枚入って、231円だそうですが、今年から姉妹商品として「プッチンスカットセレブ」も登場。つぶした時の音が通常の3倍で、まるでクラッカーのようなセレブ級の音がするそうです(ーー;)

こうしたしかけの中心人物は、2代目社長の川上肇さんで、「人に趣味があるように、会社に趣味があってもいいのではないか」という考えのもと、遊び心満載の活動を展開しています。会社のキャタクターのくうきの妖精「おひゃ~」も社長のデザインみたいです。

プチプチのおもしろさにようやく他社も気がつきはじめたのか、明和電気は、岡山で8月19日まで開催していた「ナンセンス=マシーンズ展2007」に、「プチプチパンチ」というユニークな楽器を展示。5秒間で、約2メートルのプチプチロールを一気につぶし、ストレスを解消する機械なんだそうです。

また、バンダイも来月「∞(むげん)プチプチ」というキーチェーン型玩具を発売予定です。シリコンラバーの2重構造でプチプチの気泡を再現したもので、実際につぶしたときの音をスピーカーから流すことで、本物そっくりのプチプチつぶしを何度もバーチャル体験できる、というものです。ちなみに、100回に1回は、おならや女性の声などの効果音が仕込んであるそうです(笑)。

こうして、今、プチプチの世界は限りなく広がりを見せるわけですが、ひとつの世界を深く掘り下げると、違ったステージに上がれるという、いい事例だと思います。深堀りすることで、必ずその世界をマニアックに愛するユーザー層とめぐり合えます。確率的には300人に1人かもしれませんが、そこには確固たるマーケットが生まれるということです。

最近、テレビ番組などでも工場見学をしたり、産業用の機械を使ったりするのをよく目にするようになりましたが、今までは一般消費者の目に触れることのなかった機械や素材を直接見せることは、実はマーケティング上、とってもおもしろいと思っています(*^^)v

もちろん、産業資材や工業用品など、直接エンドユーザーに手渡すためには、何らかのおもしろさやエンターティメント性が必要ですから、そのあたりのセンスも必要になりますが、この事例を参考に、自社製品の違ったアプローチの方法を考えてみるのもおもしろいと思います(@^^)/~~~

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