使い方を提案して成功した「レンタル収納スペース」
2007.09.28 09:12 written by ishihara カテゴリ:発想転換のツボ
数年前から「捨てる」や「そうじ」をキーワードにした本がかなり売れたりと、「すっきりした部屋」に住むのは日本人の永遠のテーマのようですが、そんななか従来とひと味違う『レンタル収納スペース』が人気を集め出しているようです。
三井物産の子会社「ストレージプラス」が、今年2月に東京・南麻布の一角にオープンした「レンタル収納スペースの第一号店」は、今までの「倉庫」や「コンテナルーム」とは、一線を画したサービスを提供しています。マンションの1階部分を改装した施設内には、広さ0.7~1.3坪ほどの収納スペースが41室並び、24時間・365日出し入れ自由で、月1万6千円台から借りられるようです。
契約者にはICタグが渡され、女性ひとりでも安心して出し入れできるようにと、監視カメラまで設置されています。同社でも「週末の買い物やゴルフに行く途中に立ち寄って荷物が出し入れできる。自宅のクローゼット感覚で利用してもらっている」と話していますが、「倉庫」のように暗くて冷たいイメージはありませんから、ちょっとした別宅を持った気分で便利に使えそうです♪
実はこのサービス、日本より先にアメリカではすっかり定着していて、2兆円産業にもなっているんだそうですが、日本でも今後、現在の10倍の3000億円市場になるだろうと言われていて、ストレージプラスはこれから5年で100店を出店する計画なんだそうです。
それ以外でも、いろんな会社が参入していて、ピードモントという会社が始めた「キュラーズ」というレンタル収納スペースでは、地上8階建てのビルに900スペースを用意して、なんと1階にはショールームを開設。毎日、10時~5時まで「収納コンシェルジュ」が常駐し、収納の仕方などのアドバイスもしてくれるみたいです。
ご存じのとおり、都心に住もうとすると相当の家賃が必要になりますが、たまにしか使わないものは「レンタル収納スペース」にその都度取りに行くようにし、最低限必要な身の回りのものだけが入る広さの部屋を借りるようにすれば、結果的には毎月の家賃を抑えられ、今より便利な場所に住めるかもしれません。
そんなふうに、この空間の「使い方」を提案したことで、「レンタル収納スペース」は、これまでの倉庫業から別の産業になったようです(*^^)v しかし、さらにその「キュラーズ」が最近力を入れ始めたビシネスがあります。「レコードマネジメント」というサービスで、わかりやすく言えば、企業の文書保管業。
この展開もかなりダイナミックで、都心の古いオフィスビルを1棟まるごと「保管庫」にしてしまい、セキュリティ管理も万全に行います。しかも、預かった書類は、すべてデータで管理。クライアント企業がネットから請求すれば、希望の日時にその書類をデリバリしてくれるのです!(^^)! 1冊のファイルまたは1枚の書類をボックスから取り出して届けてもらうことも可能で、標準で4時間、エクスプレスで2時間以内に文書やデータが届くそうです。
さらに、希望の文書を取り出し、PDFやその他の標準的なイメージフォーマットに変換して、依頼から30分以内にデータを届けてくれる「キュラーズ・クイックスキャン」というサービスまで用意されているんですから、まさに「おそれいりました」って感じですよね。
東京都心の平均オフィス賃料をベースにすると、オフィスでの文書保存箱1個分のスペースにかかる保管コストは月額約900円とも言われ、1人の従業員が書類探しに費やす時間は年間400時間にのぼるとも言われているそうですが、それをアウトソーシングすることにより、事務所経費や従業員にかかるこうした事務負担を軽減し、主要業務に集中させることができる、と提案するキュラーズの姿勢には、経営者を説得する力があります。
個人の場合と同じく、「使い方」を具体的に提案し、このサービスを利用するメリットを明確に打ち出すことで、そのビジネスは従来の枠組みを超えて発展していく可能性があります。この事例を参考に、自社の商品やサービスに関する「提案力」をチェックしてみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~