ブログ「石原明の経営のヒント」

「一人カラオケ」増加にみる「おひとりさま」現象

ふと気がつけば、今年も10月も半ばを過ぎ、そろそろ忘年会の予定も入ってくるようなシーズンになりました。一昔前には「宴会とカラオケ」がセットになっていたような時代もありましたが、みなさんどうですか? 最近はそうでもありませんよね??

ピークの平成6年には、5890万人だったカラオケ参加人口は、昨年には4720万人にまで減ったと言われています。ミリオンヒットの激減や、娯楽の多様化が原因だと見る向きもありますが、一時は空き室が目だったカラオケボックスに、最近ちょっとおもしろい現象が起きているのをご存じでしょうか?

s-hitokara.jpg

なんと、最近では「一人」でカラオケボックスを利用するお客さんが増えているのだそうです(@_@;) 「一人カラオケ」は『ヒトカラ』などと言われ、一人でカラオケを楽しむ人を『ヒトカラー』と呼んだりもするようですが、東京都下のとあるカラオケ店では、一人客が4年前の2.4倍に増え、総客数の15%を占めるようになったそうです。

どうして「ヒトカラー」がこんなに増えたのかと言えば、まずひとつの理由として「最近のヒット曲はラップ調で難しいものが多く、披露する前に試運転が必要」という理由があるみたいです。また、「一度やってみると意外に楽しい」というのも、リピーターを生む大きな理由だそうです。

今の時代、何かとストレスを抱えた人が多いですし、どこに居ても携帯やメールに追いかけられる生活を送っているわけですから、カラオケボックスのようにすべてを遮断して「ひとりになれる空間」は結構貴重なのかもしれません。また、仲間に気を使わず好きな曲ばかりを自由に歌える「ヒトカラ」は絶好のストレス解消にもなるのでしょう。

こうした一人客は飲食代の売上げこそ見込めないものの、リピート率がとても高いことに気が付いたカラオケ店側も、このターゲットを狙ったアプローチを開始しています。「カラオケの鉄人」を運営する鉄人化計画では、今年の2月からホームページ上に「ヒトカラデビュー計画」のキャッチコピーを掲げ、「一人客歓迎」のムードを前面に出しています。

歌広場を展開するクリアックスでは、早くも3年前から都内などの61店舗で、「一人で来店した会員は、通常の2割引きで利用できる」ようにしていたそうですが、月平均の一人利用客は、前年比2割強のペースで伸びているようです。

また、一人カラオケを支援するサイトも登場しています。セガが先月オープンした携帯電話向けサイト「ヒトカラ」は、携帯端末を見ながら、フルコーラスのカラオケが楽しめます。「自宅で手軽に練習したい」という人に好評で、利用者は順調に増えているといいます。

このところ、雑誌にも『おひとりさま』という言葉が頻繁に登場するようになり、レストランや温泉宿などでは、おひとりさま向けのプランが充実してきていますが、カラオケ業界も「おひとりさま」マーケットに救われる可能性があります。

このマーケットを着実に大きくするためには、まず「最初の1回」を利用してもらうための「敷居を低くする」戦略が必要でしょう。その昔は、牛丼屋さんに入りにくそうにしていた女性客が、今ではふつうに利用しているように、「初回の壁」を上手に破ってもらうことが必要なのです(*^^)v また「ヒトカラ」という言葉をもっと日常的に使ってもらえるように、広く認知させる戦略も必要でしょう。

いずれにしても、『昔はみんなでやっていたことを“ひとり”でもする時代』」になったということです。このトレンドを上手に利用すれば、あなたのビジネスもちがった角度で展開できる可能性があります。この事例を参考に、いろいろとアイディアを絞ってみてください(@^^)/~~~

経営コンサルタント石原明 公式サイト 石原明.com
経営次進塾
キクタス