今年の年越しは「いえそば」で?!
2007.10.25 09:22 written by ishihara カテゴリ:経営のヒント
以前、このブログでも取り上げた「グランドピアニスト」をはじめ、今、玩具業界では大人をターゲットにした商品開発が進んでいるようですが、今月、タカラトミーから発売された「いえそば」なる新商品が好調に推移しているようです。
この「いえそば」は、いわゆる家庭用「そば製造機」なんですけど、4万個を売った同社のヒット商品「ろくろ倶楽部」に比べても2~3倍の売れ行きをみせていて、ハンドルを回すなどの簡単な操作で、20分ほどあれば、そば粉からそばを作ることができるそうですから、これからのシーズン、ホームパーティーの主役になったり、「今年は年越しそばを自分で作ってみよう!」なんて意気込む人も増えるんじゃないでしょうか!(^^)!
今、「そば打ち」は、シニアの男性層に人気のある習い事の上位にランキングされているものの、やってみると意外に難しく、特にそば粉と水をなじませる「水回し」で挫折する初心者が多いそうです。これに目をつけた同社の開発チームは、商品開発に当たって、ここの工程をかなり重要視したそうです。
容器の上ぶたに微細な穴を開け、水が少しずつ滴るしくみを採用し、容器内部にはプロペラを取り付けることで、ハンドルを回すだけで、誰でも上手に「水回し」が完了するようになっているみたいです(*^^)v
さらに販促面でも独自の工夫をしています。なんと、20社弱のそば粉メーカーと連携し、「いえそば向けの数百グラム入りそば粉パック」を発売したというのです。
従来そば粉は、お米と同じように「数キロ単位」の取引が一般的でした。しかし、器具を買っても肝心の材料が簡単に手に入らないようでは、ユーザーが増えません。同社でも「そば粉の産地やメーカーによる違いを楽しんでもらうことで、趣味としての深みを増すはず」と話していますが、この発想はかなりイケてます。オリジナルの「そば粉ブレンド」なんかを研究するユーザーも出てくるんじゃないでしょうか。
これまでも、「そば打ちセット」は1万円前後でネット通販などでも売られていましたが、あくまでも「製造機械」の範疇を脱せなかったわけです。そこへ玩具メーカーが参入してくるとは、思いもよらなかったのではないでしょうか。まさに『敵はどこからやってくるかわからない』って感じです(ーー;)
ゲーム機などを見てもわかるように、玩具業界では「デザイン性」が勝負ですし、また彼らは「ユーザーを楽しませる」プロでもあります。そのセンスを持って他業種に参入されると、かなり強力なライバルとなるはずです。
しかし、この事例から学べることは、たとえ世の中に前からある商品でも、デザインをアップして商品をリニューアルれば、マーケットにとっては「魅力的は新商品」になる、ということです。この場合は、他社で出していた物を、自社でデザインしなおしたようなものですが、これを自社でやればもっと売れる可能性もあります(*^^)v
それから、『一見畑違いの商品を自社で開発』なんでヒントもありますね。もしかしたら、あなたの業界にも、思わぬ敵が参入してこないとも限りませんから、経営者としては、常に視野と発想を広げておくことが、今後ますます重要になりそうです(@^^)/~~~