農家発?!野菜パッケージに注目
2007.12.27 13:04 written by ishihara カテゴリ:経営のヒント
この透明フィルムの三角パック、いったい何だと思いますか?一見、都心のおしゃれなスーパーマーケットで売っているサラダパックのようにも見えますが、実はこれ、農家が開発した「野菜のパッケージ」なんです。「パットラス」という商標も登録していて、パッケージを開くと、舟形のお皿に変身し、中身の野菜がこぼれずに納まるというすぐれものです。
このパッケージは、「水戸菜園」を経営する後藤さんという方が開発したものですが、この後藤さん、4年ほど前に27年務めた農協を辞め、水戸菜園を起こしたそうです。イタメシブーム以来、サラダや肉料理の付け合せとして「ベビーリーフ」が人気を集めていることに着目し、そのほとんどを輸入に頼っているベイリーフなどの野菜を国産してみようと考えたのです。
その後、2ヘクタール(2万平方メートル)の農地を借り、ルッコラやエンダイブなどイタリア野菜の栽培に乗り出します。しかし、始めてみると、種をまいてから40~60日の幼葉の状態で収穫するベイリーフはとても柔らかく、取って2~3日でしおれてしまう上、通常のビニールパックでは、輸送時や持ち運びでつぶれてしまうという現実に直面したようです。
後藤氏が普通の人と違ったのは、そこからの行動です。『日本の生産者は作るだけで売ることまで考えていなかった。でも、消費者が口にするところまで配慮するのが我々の役目』と考え、主婦たちへ丁寧なヒアリングを始めたと言います。
それを反映しつつ様々な試作品づくりに取り組み、試行錯誤を繰り返しながら1年が過ぎようとしていた頃、通常平面に密着するフィルムを試しに90度垂直にしてから止めてみたところ・・・・・・中に詰まった空気がクッションになって潰れにくいこのパッケージが誕生したのです(*^^)v
しかも、このパッケージ、偶然にも袋の中が低酸素状態になり、野菜の劣化を防ぐのだそうです。スーパーに流通を始めた当初は「あまりに腐らないので、へんな薬でも使ってるんじゃないか」と、逆にクレームが来ることもあったとか。
その後、「パットラス」という商標も取得して、軌道に乗ったこの1年で、水戸菜園の売り上げは、なんと3倍に成長しているそうです。しかしそれに満足することなく、さらなる研究も重ね、真ん中に切り込みを入れ、フィルムに折り目をつけることで、子供や高齢者でも簡単に開けられる上、開くと中の野菜がこぼれずに舟形の皿に収まるという、これまでとは全く違った野菜のパッケージを実現しました。
このユニバーサルで、かつ無駄なものを使わずに済むエコ的デザインは、今年のグッドデザイン賞特別賞にも輝いています!(^^)! 8月に特許も取得したパットラスは、菓子メーカーから採用の話が舞い込むなど、明るい未来が期待されるようですが、これ、きっと海外でもウケると思いませんか? 合理的な暮らしを求める欧米人たちにも、すんなり受け入れられるような気がします。
それはともかく、既成概念にとらわれることなく、自分の仕事の枠を広げて発想した後藤氏の取り組みはすばらしいと思います。「うちは作るだけ」「うちは売るだけ」といった縛りを外し、本当の意味でユーザーのメリットを追求する姿勢は、われわれも多いに見習うべきものがあります。ぜひ参考にしてください(@^^)/~~~