ブログ「石原明の経営のヒント」

秋田弁でセールス?! コールセンターの新戦法か??

会社や自宅の電話には、さまざまな「セールス」の電話がかかってくると思いますが、日ごろはさっさと切ってしまうそんな営業電話でも、一度取ったら「切るに切れない……」感覚に襲われることがあるのだそうです。

これは、うちのスタッフが本当に自宅で受けたセールス電話なんですが、「今年はおいしいお米ができましたぁ~」(文字では訛りが表現できないのが残念!)と、秋田弁丸出しでかけてきた「あきたこまち」の営業だったそうです。

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その素朴な語り口に、ついつい話しを聞いてしまったものの、お米を買ったばっかりだったので「ごめんねぇ~」と断ったそうなのですが、電話を切った後、なんだか妙に切ない気持ちになったそうです。「今度かかってきたらつい買っちゃうかもしれません…」とそのスタッフが熱く語るくらい、インパクトのあるセールス電話だったみたいです。

その話にウケてしまった私は、気になって調べてみたんですが、どうやらこれは秋田県羽後町の「JAうご」が展開している電話セールス作戦だったようです。「JAうご」は、2006年から『天恵米あきたこまち』という高級ブランドを展開しています。価格は、10kg当たり6,980円(税込・送料別)。量販店等で一般的に売られている「秋田産あきたこまち」は、10kgで4,000円前後のようですから、約7割高い水準です。

もちろん、通常のものより味も食感も良く、化学肥料の使用を極力抑えた良質のお米なのですが、置いておくだけで飛ぶように売れる…というわけにはいかなかったようです。そこで、農家の女性たちを集め「電話セールス」作戦に乗り出したというわけ。「JAうご」の2階に「コールセンター」を設置し、首都圏などの大都市に住む一般消費者を対象に販売を開始しました。

しかし、もともとセールスの「セ」の字も経験のない女性たちですから、当初は電話をすぐ切られてしまうなど、なかなか成果が上がらなかったみたいです。1ヶ月頑張って約1万件に電話をかけても、制約できるのは80~100軒程度だったそうですから…(ーー;) 

そこで、専門の講師を頼んで「セールス講習」を実施。基本的な対応の仕方を学んだあと、電話の近くに鏡を置いて笑顔で話すようにするなどの工夫を重ねたみたいです。最初のうちは、相手の警戒心を解くため「方言をなるべく出さないで」対応していたそうですが、今では「むしろ秋田弁を交えながら話していると、親近感を持ってもらって購買につながる例も多い」みたいです。

同組合のホームページにも「講師から、全国のコールセンターで活躍する女性達の具体的な事例を聞きながら、『高い能力』が決して知識を意味せず、誠実な人柄を素直に表現する能力にあること・・・などを学んでいました」なんて書かれています。

また、「10年前に秋田に移って驚いたのは、女性がとても話し好きで、ユーモアに富んだ会話をしていることでした。心を通わせあう術に長けている。面白い産業がここに生まれようとしている」とも書かれていますが、確かにその通りですよね。いかにも仕事モードの「コールセンターのプロ」といった人からの電話より、JAうごの女性たちからの電話の制約率に軍配が上がる日も近いことでしょう。

それにしても、「方言でセールス」・・・意外と使える戦法かもしれません(笑)。“発想”を変えると、新たなビジネスチャンスが見つかるものですね(@^^)/~~~

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