ブログ「石原明の経営のヒント」

葬儀社でマジックショー!? 地域別マーケティングを活用

燦ホールディングスの中核事業子会社として、葬祭事業を展開する大阪市の「公益社」では、今春(2008年3月)、関西の直営会館全17箇所で『公益社博覧会』を開催し、のべ3千3百人の来場者を集めたようです。葬儀社の博覧会といっても、決して堅苦しいものではなく、「マジックショー」や「塗り絵コンテスト」など、地域住民を対象にした"週末の家族向けイベント"といった催しです。

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高齢化社会が進むなか、葬祭関連ビジネスは一見"追い風"が吹いているように思われますが、実のところ「家族葬」や「地味葬」を好む人が増え、大規模な葬祭は減るばかり。つまり、単価が下落傾向にあるわけですから、思うような市場拡大は見込めないと言います。また、人の死に絡む仕事だけに、葬儀社としては、これまで積極的な宣伝ははばかられてきた面もあるそうです。

そんななか、同社では、あえて「マーケティング」という言葉を使って積極的に営業活動を展開しています。これまで「関東」では、ホームページやコールセンターを使って広域受注するなどのマーケティング手法を活用し、事業を拡大してきた経緯があります。次いで、もともとの地盤でもある「関西」では、こうしたイベントを通じた"地元密着型"の作戦に出たというわけです。それぞれの地域性の違いを考慮してのことでしょう。

これまで、各会館ごとでイベントを実施することはあったものの、全館一斉で「博覧会」として大規模にPRするのは初めての試みだそうです。今後も、年に一度以上は開催していく予定だそうですが、「地域別マーケティング」には、かなり有効な方法だと思います。実際、来場者には「近所にあることは知っていたけど、中に入ったのは初めて」という人も多く、地域住民に自社の存在をアピールするには、十分な効果を発揮したみたいです(*^^)v

葬儀産業のように、「待ち」のスタイルでも、一定の需要が見込めた業界は、自ら"情報発信"していくスタイルが苦手な会社が多いようです。しかし、業界の常識やタブーに変にとらわれることなく、こんなふうに「マーケティング」という発想を取り入れ、「攻め」のスタイルに変わることができたなら、同業他社に一歩も二歩も先んじることができるはずです。

そういった意味では、業界そのものに「マーケティング型の思考」が根付いていない業界は、逆に"チャンス"でもあるということです。この事例を参考に、ぜひ自社のマーケティングの精度を今一度見直してみてください(@^^)/~~~

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