ブログ「石原明の経営のヒント」

WAL-MART エグい会社に知恵で勝つ!

今月のおすすめ本として、かなりダイナミックな本をご紹介しようと思います。「ウォルマート」を取り上げたビジネス本は、これまでにも数々ありましたが、本書はそれらの類書とはちょっと角度の違った本で、経営者にとって「衝撃の1冊」になるかもしれません。

なかには、読み終わった後に、かなり暗~い気持ちになってしまう人もいるかもしれませんが(ーー;)・・・「必要な情報を最初に得る時には、みんなこんな感じになる」と考え、なるべく明るく考えてください。企業が限りなく発展した先には「何が起こるのか」ということを知るためにはかなり秀逸な1冊です。

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ご存知のとおり、「ウォルマート」はアメリカ最大の流通チェーンです。ちなみに、同社が現在どのくらい大きな企業になっているかですが、「アメリカでは100人に1人がウォルマートで働いていて、10人に9人がウォルマートで買い物をしている」と言われていて、売り上げ規模の3,120億ドルは、アルゼンチンやサウジアラビアのGDPを抜き(世界で22番目の国家と 同規模という意味です)、その社員数にいたっては世界で180万人(@_@;) 米国内でも114万人以上いるみたいですが、「ユニフォーム着た人数」という意味では、米陸軍よりも多いそうです。この数字、かなり衝撃を受けませんか・・・?!

資本主義経済の歴史のなかで、まさか「国より大きくなる企業」が登場するなんて、思ってもみませんでしたよね。もちろん「企業」である以上、成長し続けることが必須条件なわけですが、これまでの社会では、ひとつの企業が「永遠に発展し続ける」ことは、ある意味「あり得ない」現象だったのです。その理由をひと言で表すなら、「人間という不確実な存在が経営していたから」ということになるでしょうか。50年続いた企業を3代目が潰した・・・みたいなことが普通に起こって、自然と資本主義社会の秩序みたいなものが守られていたのです。

しかし、もはや「ウォルマート」は、「人間が経営している」とは言いがたい領域に到達しています。「勝てるシステム」が完璧に出来上がっていて、入念に集められたデータを元に経営判断を下していく以上、極端に言えば誰が経営しても、勝ち続けられる仕組みが出来上がってしまっている・・・というイメージで捉えてみてください。このまま行けば、「一企業が世界を動かす」ことも可能な世の中になってしまうかもしれません。

ある意味、「IT化が進み、情報発信と物流が便利になりすぎた世の中では、優秀な企業が独占的に発展していきやすい」ということです。たとえば、ある優れた商品の開発に成功した企業があったとします。一昔前の世の中では、地理的および物理的な事情で、その商品が世界中に流通するのはなかなか難しかったわけですが、現代のように情報化が進んだ社会なら、さほど難くもないでしょう。

そう考えると、「ウォルマートのような巨大企業を生まれやすい時代になった」とも考えられます。もちろん、日本がすぐにそんな世の中になるわけではないので安心して欲しいのですが、ひとつだけ間違いないのは、企業の存在が大きくなり社会に及ぼす影響もそれにしたがって増えていくという現状を考えると、これからの企業はだた「モノやサービスを売ればいい」という存在ではなく、環境問題や雇用の問題、つまり社会全体にどう貢献するかを考えていく必要があるということです。

当然、社会全体に絶大な影響力を持ったウォルマートは、日々そうした問題と直面しているわけですが、これは企業規模の大小を問わず、経営者が「経営のファクター」として、真剣に取り組むべき問題です。本書は、あくまでもアメリカの一企業の話ではありますが、私はそこから「企業の存在意義」、「今後の経営者に必要な資質」など、さまざまな思いを巡らせてしまいました。自分の"思考の枠組み"を広げたい方は、ぜひ読んでみてください(@^^)/~~~

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