ブログ「石原明の経営のヒント」

エドウィン・デニムギャラクシーに学ぶプラスオンの視点

東京の荒川区に本社を構えるジーンズメーカーのEDWIN(エドウィン)が、今年の4月、地元日暮里に開いた直営店「エドウィン デニム ギャラクシー」が予想を上回る人気ぶりだそうです。

店名に使った「GALAXY(ギャラクシー)」とは、「華やかな集まり」という意味ですが、これは同社の設立40周年の記念事業という意味も含めて、「ジーンンズの夢を感じ、未来が集まるとの気持ちを込めた」のだそうです。

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この店は、同社最大の売り場面積、450品目にものぼる豊富な品揃えに加え、「ジーンズをその場で加工するサービス」が最大の特徴です。店の真ん中に「デニム工房」を作り、補修用やステッチ用ミシン、びょう打ちのためのリベット機など、工場の一部機能を持ち込んだのです。

そのため、他県からの来店客も多いそうですが(ジーンズマニアにはたまらない店ですよね)、ポケットのふちに、ハート型やひし型などのびょう打ちをしたり、スワロフスキーの転写シートを使った加工などが人気だそうです。

大半の加工なら即日渡しが可能で、ミシンで縫いつけて穴をふさいだように見せる「リメイク加工」などでも最大3日で受け取れるそうですが、どうやら、注文を受けた店員が、そのまま加工まで受け持つのが人気の秘訣のようです。お客さんの細かなこだわりを、そのまま加工に反映させやすいことから、お客さんの満足度も上がるというわけです(*^^)v

こうした丁寧な接客と、オリジナル加工、豊富な品揃えとが相まって、お客さんの平均滞在時間は1時間にものぼり、他の直営店の倍以上もあるそうです。さらに、客単価も8900円を超えるなど、経営的にも好調なわけですが、さらに同社が賢いのは、この店に本社の商品開発担当者と、インターネット部門を受け持つeコマース部隊を常住させていることです。

どういうことかというと、全国からジーンズ好きが集まるこの店で、消費者の好みやニーズの変化を肌で感じ、それをすぐさま「現場」に持ち帰って商品戦略に生かすのだそうです。これからの経営には、こうした『スピード感』こそがキーになると思います。

それにしても、自分の持ち物に「オリジナリティ」を求めるのは、今どきの日本人の最大の特徴かもしれません。世界広しといえども、携帯電話にたくさんストラップをつけたり、さらにはシールやペイントなどでデコレーションして使っている国民は少ないと思います。iPodにまでケースをつけたり、ビーズを貼ってキラキラにしたり・・・工業製品を勝手に自分だけのものにする感覚は、日本人ならではですよね。

こう考えていくと、日本人に「ネイルアート」がすっかり定着した理由もわからなくもないですが、それはともかく、たとえ工場で大量に生産された製品であっても、それを「オリジナル商品」にするために、「プラスオン」するサービスを同時に用意するという戦略は、他業界でも十分通用すると思います。

この事例をヒントに、自社の商品に「プラスオン」するサービスがないかどうか・・・楽しく発想してみてください(@^^)/~~~

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