ブログ「石原明の経営のヒント」

新作が6時間145円!?DVDレンタルの新しいカタチ

下の写真、いったいなんだと思います? 一瞬、外資系銀行のATMか何かに見えますが、じつは、「ムービーバンク・ジャパン」が展開するDVDの『自動貸出機』なんです。利用法も銀行のATMと似ていて、会員カードを挿し込み、暗証番号を入力し、借りたいタイトルを検索して決定すれば、ものの10秒もしないうちに、選んだ作品が出てくるという仕組みです。

秋の夜長、時には好きなDVDでも観て過ごしたいものですが、家の近くで手軽に借りられて、しかも「100円程度」という手ごろな価格なら、思わず「借りてみようか...」などと思ってしまいますよね。


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「ムービーバンク」はイタリアが発祥で、欧州ではすでにDVDレンタル店の約5割のシェアを握る存在のようです。日本法人は2006年に設立され、直営1号店を東京・渋谷に開業しました。翌07年春からは、フランチャイズ(FC)での出店を本格化し、現在13店まで増えているようです。

DVDレンタル店などと聞くと、普通、棚にずらっとタイトルが並ぶ光景を想像してしまいますが、「ムービーバンク」のレンタル店は、入会受付のためのカウンターと、この『自動貸出機』があるだけといういたってシンプルな作りです。ちなみに、この『自動貸出機』は、フェラーリのデザイナーによるものだそうですよ。さすが、イタリアですよね!(^^)!

それはともかく、今、国内のDVDレンタル市場では、TSUTAYAゲオの2大勢力により中小のレンタル店が淘汰され、レンタル店の「空白地帯」が多く生まれているのだそうです。同社は、まさにその"すき間"を狙ってこの『自動貸出機』を設置し、「無人」運営を目指しているのです。そうすれば、年中無休の24時間営業が可能になります。

また、価格の面でも、大手チェーンとの差別化を図るために、「6時間単位」での料金設定を導入しました。新作なら6時間145円、古いタイトルなら、なんと99円で借りられるのだそうです。これは、一般のレンタル店における当日料金の「約半額」という設定になっています。

さらに親切なことに、個別の作品の貸し出し状況について「携帯電話」を使って確認ができる仕組みも導入しています。すでにレンタル中の作品にも、「仮予約」が入れられ、返却されると携帯メールに連絡が入るという業界初のシステムも構築したそうです。

大手のTSUTAYAでは「ツタヤディスカス」という、月額固定料金を支払えば、好きな作品が自宅に郵送されてくるというサービスに力を入れていますが、同社はそれとは真逆に舵を切り、DVDレンタルに「必要な時に必要なだけ」という発想を取り入れ、「時間制」を採ることで回転率を上げ、価格を下げる戦略に向かったわけです。

こんなふうに、たとえ成熟したマーケットでも、経営者の着眼点とアイディアしだいで、新しいビジネスモデルを作ることも可能なのです。あとは、このサービスをどう「認知」させていくかの勝負です。

同社の会員数は、現在2万人程度だということですが、知名度の向上に策を練れば、ここから一気にシェアを拡大することも不可能ではないでしょう。今後の展開に、しばし注目していきましょう(@^^)/~~~

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