ブログ「石原明の経営のヒント」

店舗の「居抜き」物件サイトが好調

その時々によって、時代を切り取るようなビジネスが登場するものですが、このところ、店舗の居抜き物件ばかりを紹介するサイトが注目されています。テレビ番組などにも取り上げられているので、ご存じの方も多いと思いますが、ベンチャーリンクの子会社「M&Aオークション」が運営する『店舗そのままオークション』という不動産仲介サイトです。

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そのしくみがまた秀逸なのですが、サイトから物件を購入すると、買い手には30万~100万円の「出店支援金」が付いてくるのです。といっても、運営会社が負担しているわけではなく、この支援金を支払っているのは「売り手」側。支援金を出した企業は、「原状回復費」が免除されるというしくみなんです。

店舗を経営したことがある方ならおわかりだと思いますが、この「原状回復費」って、結構ばかになりませんよね。未来に投資する前向きなお金ならともかく、過去に対して払うお金のような感じがして、なんだか妙に虚しいものです(ーー;)

しかし、よく考えれば、なにも出ていく側に「原状回復」してもらわなくとも、同じような事業を始めたい人が"そのまま"使えばいいわけです。飲食店なら飲食店を、美容院なら美容院をやりたい人とマッチングさえできれば、まさに「三方良し」ですよね。

景気悪化に伴い、今はどこも新規出店のコストを抑えたいのが本音です。また、エコや環境面から考えても、店舗のリサイクルやリユースはとても時代に合っている感じがします。現在、約4万件近い利用登録があり、そのうち8割は出店希望者だそうです。サイトには常時2百件前後の物件がストックされているみたいですよ。

こんなふうに、不景気になったことで、突然注目されるビジネスがあります。何を隠そう「夜逃げ屋」さんなども、そのひとつです。「夜逃げ屋」といっても、ヤバいイメージとは裏腹に、借金を抱えて苦しむ人をどう社会復帰させるかというコンサルティングのような役目を担う会社まで登場しているんです(@_@;)

それはともかく、勘違いしないで欲しいのは、こうしたビジネスはすぐには成功しないということです。この『店舗そのままオークション』も、オープンは2005年の秋です。開業以来約3百件の仲介実績があるそうですが、そうした積み重ねがあって、はじめて成り立つビジネスだという点を忘れないでください。

つまり、安易にマネだけしてもダメだということです。経営者は、常に"次の時代"に向けての準備を進める必要があるのです。いくら景気が悪いからと言っても、社長が目の前のことだけに心を奪われているようでは会社の行く先が心配です。こんな時代だからこそ、経営者は視野を拡げたいものですね(@^^)/~~~

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