ブログ「石原明の経営のヒント」

今夜は温泉に帰ろう♪ 時間軸を見直しマーケットを開拓する

ゴールデンウィーク真っ只中。旅行にお出かけの方も多いと思いますが、最近、温泉宿のスタイルが変化しているのをご存じでしょうか? 湯河原温泉旅館協同組合では、「今夜は温泉に帰ろう♪」を合言葉に、昨年(2008)年10月から「チェックイン~チェックアウト」の時間帯を大幅に見直しました。

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宿によって多少時間の前後はあるみたいですが、23時までチェックイン可能な宿もあり、その日は温泉に入ってそのままぐっすり...。翌朝朝食をいただき、昼から温泉三昧! 昼食は付きませんが、その後ゆっくり夕食をいただき、午後9時にチェックアウト...といったプランなんです。

これなら金曜の会社終わりにそのまま温泉に「直帰」しても、土曜日の夜には自宅に戻れますから、翌日の日曜日は丸々自由に使え、週末をより有効的に活用できるわけです。また、平日に1日だけ有給を取って、温泉でリフレッシュすることも可能です(*^^)v 

景気先行きの見通しも厳しいなか、温泉宿はどこも「平日の稼動率の低さ」が大きな問題になっているようです。そんな背景からこのプランが生まれたのだと思いますが、"時間軸"を見直すことで、新たな需要が掘り起こせる可能性は大きいと思います。

しかし、宿側の事情から見れば、週末2回転できる部屋が1回転で終わってしまう可能性が高くなるのは痛いところかもしれません。ですが、それ以上に平日利用の「集客」が急務だったということでしょう。この変則1泊2食付プランに加え、「1泊朝食のみ」と「素泊まり」プランまで用意して、日帰り客を宿泊客に変える努力を惜しみません。

このプラン、当初はOL層をターゲットにしていたそうですが、意外と子ども連れや熟年層にも好評だそうです。また、仕事の関係でなかなか2人の休みが合わずに旅行できなかったカップルたちからは、「このプランなら楽しめる」という声も。結果、顧客数が前年同時期の1.4倍になった宿もあるみたいです!(^^)!

以前、『経営情報レポート』でも取り上げた星野リゾートのように、「レイトチェックイン」を導入する宿はありましたが、地域全体で取り組むとそのインパクトも違ってきます。湯河原だけでなく、この流れは全国に広がりつつあるようですから、そのうちこれが当たり前になる日が来るかもしれませんね。

温泉宿のメインターゲットが「宴会客」だった時代は、とうに終わっています。個人客を取り込もうと思うなら、消費者の生活スタイルや考え方の変化に、経営者は常に敏感でいる必要があるのです。どんな業界でも、「当たり前」を注意深く見直すことで、新たなマーケットが拓ける場合が多いもの。ぜひ、参考にしてください(@^^)/~~~

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