ブーツ2足から預かり!? 寺田倉庫のねらい目
2009.05.10 09:12 written by ishihara カテゴリ:発想転換のツボ|経営のヒント
そろそろ衣替えの季節ですが、女性用の「ブーツ」って、意外と収納場所に困るもののようです。そんなところに目を付けたのが、倉庫業大手の寺田倉庫です。同社では、小荷物を保管するトランクルームサービスの一環として、女性用ブーツを2足から預かる新サービスを始めたのです。
「ブーツパック」というこのサービスを利用するには、まずネットで申し込みをします。すると、カビや臭いを防ぐ備長炭のシートを敷いた専用箱が自宅に届き、後はその箱にブーツを入れ、宅配業者に引き取りを依頼するだけ。預け時の宅配便は無料で、6ヶ月以上預ければ、必要なときに、また送料無料で自宅に届けてくれるそうです。ちなみに、月額料金は840円です。
都心のマンションなどは、収納スペースが限られているため、トランクルームの潜在需要は大きいと思いますが、月額1万円前後となると、ちょっと考えてしまいますよね。また、倉庫が自宅の近くにないと何かと不便ですから、おのずと利用者も限られてしまいます。
そんなハードルを低くするために、同社が考えたのが「ちょこトラ」というサービスです。2007年12月にスタートしたこのサービスは、本やCDなどをダンボールに入れて預けられ、縦・横・高さの3辺の合計が1メートル以内なら、ダンボール1個が月420円という手軽さがウリになっています。
洋服などはハンガーボックスに入れて保管してくれたり、ワインセラーとなるべく、温度管理に気を配って保管してくれるサービスがあったりと、なかなかよく考えられているのですが、いまいち認知度に欠けるのか、これまでの保管数は1千箱程度に留まっているようです。
その突破口となるべく考え出されたのが、今回の「ブーツパック」というわけです。同社のアンケートによると、多くの女性は捨てられないブーツを1~2足は持て余しているという結果も出ているようで、大いなる期待を寄せています。ふつうに考えても、おそらく女性一人当たり5足前後はブーツを持っているんじゃないかと思いますから、確かに需要はありそうです。
また、経営面から言っても、貸事務所などを考えてもらうとわかるように、スペースは小分けにすればするほど収益性が上がりますから、この「ブーツパック」で認知度が高まり利用者が増えれば、おもしろいことになるかもしれません。
そういえば、お菓子が売れるようになったのも「小分け」にしたからって知ってました? その昔はせんべいなども大きい袋にガサッと入っていましたから、1回封を開けると食べきらなきゃいけないプレッシャーから、買い控えていた人も結構いたわけです。
その点、少量ずつパックされていれば、ちょっと食べたいときにも便利ですよね。今や、あの小枝チョコレートまで小分けパックに入っている時代です。ゴールデンウィークに久しぶりに食べてびっくりしていたら、子どもから「そんなの常識じゃん」と突っ込まれました(ーー;)
それはともかく、この「ブーツパック」も、利用者側の心理を突いたサービスです。1箱預けたことをきっかけに、コートやバック、そして本やCDまで利用範囲を拡げる可能性がありますから...。なんでも「はじめの一歩」をどう踏み出してもらうかが重要なポイントなんです(*^^)v
この事例を参考に、自社の商品やサービスを、初めてのユーザーにどう利用してもらうか、いろいろとアイディアをめぐらせてみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~