ロッテの新感覚ガム「Fit's」のユニークマーケティング
2009.08.06 12:38 written by ishihara カテゴリ:おもしろ企業・商品|発想転換のツボ
突然ですが、ロッテのガム「Fit's(フィッツ)」のテレビCMを見たことがありますか? 人気イケメン俳優の佐藤健(たける)くんたちが、ユニークなダンスを踊っている・・・そう、あのCMです。今年(2009年)の3月の発売以来、売上げも好調に推移しているようですが、その陰には、とってもユニークなマーケティングがありました。
ガム業界は、ここ数年縮小を続けていて、2005年以降、4年連続で前年割れを起こしているようです。メーカー各社は、歯を健康にするという機能性に加え、眠気覚ましや口臭予防、フレグランス効果などの目的をうたった商品を出して頑張ってはいたのですが、若者たちの「ガム離れ」を止めることはできませんでした。
そこでロッテは、10代~20代の若者にあらためて調査をしたのですが、その結果「あごが疲れる」「かむのが面倒だ」といった思いもよらぬ答えが返ってきたのです(@_@;) 確かに今の若者たちはあごが弱っているといった話は聞きますが、それでガムが売れなくなっているとは・・・おそらくメーカー側も考えていなかったのではないかと思います。
しかし、同社がえらかったのは、この調査結果を素直に受け止め、これまでの機能性をうたう戦略をガラリと変えて『やわらかい食感』だけを売りにした新商品を開発した点です。さらに、包装紙にミシン目を入れることで、端を引っ張るだけですぐに食べられるように工夫しました。こんな工夫も、めんどうくさがりの若者たちの心をとらえたのかもしれません。
また、広告戦略では、「若者=ダンス」という発想から、このようなユニークなダンスを踊るCMを制作し、若者に人気があるダンススクールなどを中心に、全国1千箇所のダンス教室に無料でガムを配布したそうです。さらに、YouTubeと組んで「ダンスコンテスト」を開催しました。CMのダンスを自分たちで踊った映像をYouTubeに投稿してもらい、その再生回数でグランプリを決めるというものです。
みごとクランプリに輝いたのは、11才桃花(シンクロスイマー)さん で、その再生回数は134,206回にものぼりました。ちなみに、このコンテストは好評を受け、一人一票の「投票制」として企画続行中です。
このように、「Fit's(フィッツ)」は、商品力+マーケティング力の相乗効果で、ガム業界を牽引するヒット商品になりました。業界では、年間400万個売れるとヒット商品だとされるようですが、「Fit's(フィッツ)」は、発売2ヶ月でなんと!2,000万個を売上げたそうです。一時は生産が追いつかず、4月には3種類のうちの「ミックスベリー」を販売中止にせざるを得なかったとか。(その後設備投資をし、7月に再発売されました)
ガムのような成熟市場でも、リサーチに基づく新商品開発と、「若者=ダンス」というインスピレーションによる広告戦略で、こんなヒット商品が作れるのです。いつも言うように、経営者が常に発想を柔らかくしておくことで、「売れない」時代を突破できるかもしれません。ぜひ、参考にしてください(@^^)/~~~