ブログ「石原明の経営のヒント」

旅行なのに「歩きません」!? クラブツーリズムのバスツアー

今年(2009年)の6月からクラブツーリズムが売り出した『長い距離は歩きません!の旅』が好調な推移を見せているようです。なんでも、発表から1ヶ月間に約400件の資料請求があり、100件以上の申込みがあったと言います。

クラブツーリズムといえば、中高年向けのバス旅行ではピカイチの会社で、私の主宰する「高収益トップ3%倶楽部」の会員向けに毎月発行している「経営情報レポート」の今月号でも取り上げた企業なのですが、「旅行なのに歩かない」を売りにするとは......かなりユニークな企画ですよね(*^_^*)

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このプランを企画したのは、同社バリアフリー旅行センターの支店長さんだそうですが、障害者に配慮した旅行商品を手がけてきた経験から、観光地の多くは既にバリアフリー対応ができることを熟知していたのです。

たとえば、北海道夕張市の石炭博物館では、本来なら大型バスの駐車場から博物館の入り口まで、上り坂を約10分ほど歩くのだそうですが、このツアーでは、駐車場から博物館までの移動も車で行い、見学後は特別にエレベーターで地上に戻るなどの配慮をしました。

以前から旅行のパンフレットに「バリアフリー」という表記をしていたものもあったようですが、健常者は「バリアフリー」という言葉には全く反応しなかったそうです。具体的に「歩きません!」と表記したことで、これまで足に自信がなくて旅行をあきらめていた高齢者層が大きく反応したのです。

参加者の中心は70歳代だそうですが、なかには94歳の方もいたそうです。ツアーのなかには、つえを使う人も乗り降りがしやすいように、リフト昇降機が付いたバスを使うものもあるそうですから、このツアーのおかげで、顧客層を大きく広げることになりそうです。

「歩かない」と同じように、「お食事はお座敷ではありません」といったひと言も、高齢者にはかなりキキメがあるはず。この年齢になると、膝を悪くして正座がつらい方も多いですから、ツアー中「椅子席で食事」できることも、大事なポイントになると思います。

こんなふうに、「顧客が本当に望むこと」を見極め、さらにそれを「わかりやすい表現」で伝えることで、まだまだ新しいマーケットが開拓できるということです。経営者は、消費不況を嘆いてばかりいないで、この事例を刺激にして、ぜひ積極的な発想をしてみてください(@^^)/~~~

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