会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ
2009.09.18 16:35 written by ishihara カテゴリ:おすすめ本の紹介
この本は、ちょっと見、奇をてらった"企画モノ"のように見えますが、中身は「楽しく読める自己啓発本」で、なかなかの良書です。
私がオススメしないと、経営層の方たちが積極的に買って読む本ではないと思ったので今回取り上げてみました。かく言う私も、本書の企画&編集をしたコーディネーターさんからいただいて読んだのがきっかけなのですが、正直、期待以上の内容でビックリしたんです(笑)。
この本をどんなふうに読んでもらったらいいかと言うと、「人を育てる」とはこんな感じ、という具体的なイメージを持ってもらうのに最適な本なんです。みなさん大なり小なり「部下の教育」には悩んでいると思いますが、目の前で「私には出来ない...」と立ち止まってしまった部下を動かすには、2通りのやり方しかありません。
ひとつは「知識を丁寧に教えて自信を持たせる」こと。そして、もうひとつの方法が「切羽詰まった状況を上手に作ってあげること」です。この本の著者の齊藤さんは、とある会社でマグロの鮮度保持剤の開発に携わっていました。ところが、一向に開発がすすまない・・・それを見かねた上司がひと言「マグロ船に乗って来い!」と業務命令を出したのです(@_@;)
というわけで、イヤイヤ船に乗り込んだわけですが、彼はマグロ船で多くのことを学び成長していくのです。船は一度陸を離れれば、40日は戻ることが出来ません。ですから、全長わずか20mの閉ざされた世界のなかに身を置いている海の男たちはみな、「起きたことは全て自分たちで何とかする対処能力」と、人間関係でストレスを溜めない「卓越したコミュニケーション力」の持ち主なのです。
つまり『環境が人を育てる』って感じです!(^^)! これは"陸"で仕事を生活している私たちにも言えることで、たとえばものすごく忙しい状況を作ると、自分の能力がグンと上がることがあります。私は昔から「タイムマネジメントを身につけたければ、今の3倍スケジュールを入れなさい」なんて教えていたんですが、それはともかく、人は環境に応じた力を出す生き物なのです。
今の若い世代は、とても"おりこうさん"で、なかなか自分のテリトリーを出ようとしませんが、このマグロ船の親方は「いつも自分ができることをやっていても、仕事なんておもしろくなかろーが。毎回うまくできるかどうか、緊張感があるから、仕事は楽しいんじゃねーか?」と話してくれたそうです。決して「仕事は慣れてしまえば楽になる」ものじゃないんですね。
本書には、こんな会話が随所に盛り込まれています。その会話はじつに絶妙で、「こんなふうに教えたら相手の心に届くだろうな」という表現がいくつもありました。「勉強ができると判断力が鈍る?」なんて一節もありましたが、海の男たちは、決して座学でこうした能力を身につけたわけでなく、すべて「実業」から学んでいて、だからこそ現場に強い人間が出来上がるのです。
こんな感じで読んでもらうと、とても多くの気づきをくれる本です。ぜひ手にとって確かめてみてください(@^^)/~~~
・・・ちなみに、彼らのコミュニケーション能力は、夜の巷でも存分に発揮され、海の男たちは陸でもかなりモテるみたいです(*^_^*)