ブログ「石原明の経営のヒント」

新江ノ島水族館の集客術に学ぼう

消費不況が続き、集客に悩む施設も多いなか、神奈川県藤沢市の新江ノ島水族館が高い集客力を見せています。同館は、2004年にPFI(民間資金を活用した社会資本整備)方式で運営会社とオリックスが共同で改装した施設です。

1954年に開業した旧江ノ島水族館は、ピーク時の60年代前半には年間200万人の集客を誇ったものの、施設の老朽化が進んだ2003年には、年間30万人にまで落ち込みを見せていました。そこで神奈川県は、水族館のある湘南海岸を臨む県立公園活性化のために、再整備を検討し出したのです。

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とはいうものの、財政面での余裕はなく、失敗は許されない状況でした。そこで、ゴルフ場や旅館の再生で実績があるオリックスの力を借り、PFI方式での再建を目指したというわけです。再建にあたっては、見学するだけでなく遊びながら学べる『エデュテイメント』という教育と娯楽を掛け合わせた造語をコンセプトに据えました。

そして、夜間見学ツアーやお泊りツアーなどの「時間軸」を見直したブランのほか、イルカのショーを見せるプールやクラゲを展示する幻想的なホールを、結婚式やイベント用スペースとして貸し出すなど、同社が「ホテルやゴルフ場で培った資産を最大限有効活用するノウハウ」がみごとに当たったわけです。

改装初年度の04年には、180万人の集客を記録しました。しかも、5年目には半減するとの予想を良いかたちで裏切り、08年度の集客も130万人という高い水準を維持しています。やはり業界の常識を打ち破る新しい風を社内に入れることは、相当な効果があるということです。

日本の経済環境は、まだまだ閉塞感から抜けきれませんが、元気なところ、楽しいところに人は集まるもの。ぜひこの事例を参考に、枠を外した発想で現状打破する方法を模索してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~

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