海外旅行で「社会貢献」!? 今、若者を集めるのに必要なこと
2010.05.31 08:58 written by ishihara カテゴリ:経営のヒント
先々週の「経営者会報ブログ」には、携帯ゲーム」の話題を取上げ、「今は"おしゃれ"か"おもしろい"でしかリアルに人が動かなくなっている」という話を書きましたが、海外旅行離れが進んでいる若者たちに対し、「社会貢献」を切り口にしたエイチ・アイ・エス(HIS)のツアーがウケているようです。
同社では、昨年(2009年)春から、バングラディッシュを舞台に新しいタイプのツアーを実施し、1年間で約500名近い若者を送り込んだそうですよ。
このツアーは普通の観光旅行ではなく、現地の社会団体とともに学校建築に汗を流したり、日本に輸出するバッグ工場の工員さんたちと交流したり、学生寮に泊まって現地の学生と意見交換をするなど、まさに現地を"肌で感じる"ような内容になっています。
このツアーを体験した学生からは「貧しいのに全くこびたり卑屈になったりしない人々の生き様にショックを受けた」「目に日本にはない輝きを感じた」「人々はまっすぐ明るく生きており、途上国の発展を援助するという(自分らの)上から目線の考え方が揺らいだ」などの感想が寄せられているのだとか。
この反応を見て、同社の企画担当者は「海外旅行離れは、若者の志向に合わせた商品の提供が十分でなかった結果ではないか」と反省しているようですが、旅行に限らず、今のマーケットにはこうした現象があちこちで起きているように感じます。
確かに相変わらず経済環境は厳しく、消費不況も長引いていますが、みんなお金を使いたくないわけではなく、「お金を使う意味」を感じる商品やサービスが見つからないだけなのかもしれません。もっと言えば、「買って満足」した時代はとうに終わり、自分がお金を払ったことで「どんな満足感が得られるか」に興味や関心が移った、ということです。
海外旅行にしても、観光名所を巡り美味しい料理を食べ・・・だけではもう満足できないということです。たとえば、「自分が世の中の役に立てることを実感する」とか、「環境問題を考えるきっかけを与えてくれる」とか、その旅行の「意味」が必要とされているのです。
経営者が、今どきの消費者たちのこうした感覚の変化を実感していないと、コンセプトのズレた商品を開発してしまったり、むやみに安売りに走ったり・・・という結果に陥ってしまいます。いつも言うように『世の中は自分のためにお金を出して宣伝してくれている』わけですから、ぜひこうした事例を参考に、経営者としての感性を磨き続けてください(@^^)/~~~