ストーリーとしての競争戦略 ― 優れた戦略の条件 ―
2011.04.21 16:05 written by ishihara カテゴリ:おすすめ本の紹介
今回おすすめするのは、経営戦略を楽しく学ぶに最適な一冊です(*^^)v 本書は「戦略の神髄は、思わず人に話したくなるような面白いストーリーにある!」として、サウスウエスト航空、デル、スターバックス、セブン-イレブンなどの優良企業の戦略を、静止画ではなく、まるで「動画」で見るがごとく、生き生きと解説してくれています。
「戦略とは、必要に迫られて難しい顔をしながら仕方なく作らされるものではなく、誰かに話したくてたまらなくなるような面白い『お話』をつくるということなのだ」・・・というように読みやすく展開されているので、企業戦略の枠組みを学ぶという点ではとても参考になるでしょう。
私自身も、ビジネスモデルを考える時には、こんなカタチでストーリーを考えたりしますので、「結構共通点があるな」と思いつつ、楽しく読みました。もちろん今の時代、面白いストーリーの後ろ側には、クールなほどに磨かれたマーケティングロジックや物流および情報のインフラを整えておくことが必須ですが、日本人はとりわけ「まじめにがんばっていればいつかは成功する」と思い込みすぎている節があります。
私はよく「経営は2層構造になっている」と教えます。2層とは「現場」と「経営」のことですが、現場においては確かにまじめさが必要ですが、「経営とはアイディアで勝負する世界」なので、得てしてまじめさが短所になる場合さえあるのです。はっきり言えば、戦略のないまじめさは決して成果が上がらない、ということです(*^^)v
たとえばこの本の装丁をよく見てください。一見、翻訳本のように見えませんか? 本体価格も2800円(税別)と高めの設定です。・・・しかし、著者はれっきとした日本人。確かに500ページにもおよぶ大作ですが、「翻訳本なら高くてもOK」というビジネス書読者の感覚を上手く掴んだつくりになっていると思います。
出版社だって本屋さんだって「儲かるもの」を売りたいはず。1000円の本より2800円の本が売れたほうが嬉しいはずなんです。この本がそんな「戦略」のもとにつくられたのかどうかわかりませんが、「儲かる理由」は社長自ら生み出すものなんです。ビジネスモデルも経営戦略も、簡単に言えば「がんばらないでもうまくいくしくみ」です。
このあたりに今一歩自信がない方は、ぜひ本書でしっかり"戦略的発想"を身につけて、意図的な経営のできる社長へと脱皮してほしいと思います。「必要に迫られて難しい顔をしながら仕方なく」している経営では決して勝てませんよ(@^^)/~~~