ブログ「石原明の経営のヒント」

会員制餃子!? パラダイス山元さんの「蔓餃苑」って・・・(@_@;)

先日、うちのスタッフからおもしろい話を聞きました。東京は荻窪に「会員制の餃子屋」があるというのです。あるイベントで「先週、その餃子屋さんに2回行ってきたの」という女性と、たまたま知り合って聞いた"生"の情報みたいです。

会員数1000人を持つそのお店のスタンスは「年中平常休業」で、「臨時開苑」する場合にだけ、mixiの一括メッセージが届けられるそうです。といっても、お店のセンターにダイニングテーブルがひとつあるだけだそうなので、毎回1分以内に"満席"になってしまうのだとか(ーー;) もちろん"一般人"は会員さんに連れて行っていただく以外、入店すらできません。


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そんな酔狂なお店の経営者は、「パラダイス山元」さん。ラテン音楽を中心に活動するマンボミュージシャンであり、グリーンランド国際サンタクロース協会公認の「サンタクロース日本代表」であり、はたまた「入浴剤ソムリエ」として入浴剤をプロデュースしたり、盆栽の鉢に木や苔のほかにフィギュアを立てる芸術「マン盆栽」を創案し、家元として普及に努めていたり・・・ともかく多方面でご活躍の方なのです。

気になって調べてみると、なんと!元は「カーデザイナー」だったようです。富士重工業(スバル)のカーデザイナーとして、現在のステーションワゴン人気の先駆けとなった初代「レガシィ ツーリングワゴン」や2ドアスポーツクーペ「アルシオーネSVX」のデザインを手がけた方だとか(@_@;)

そんなパラダイス山元さんが、なぜ「会員制餃子屋」さんを開くことになったのかは、この『餃子のスゝメ』に書かれているのですが、インターネット創成期である1996年、はじめてネットにつながって、なにげなく自分の名前「パラダイス山元」と検索してみると・・・そこには衝撃的な情報が載っていたのです。


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「芸能界で一番おいしい餃子をつくるのは、1位タモリ、2位パラダイス山元・・・」

それまで、自ら「流浪の餃子職人」と名乗り、やれ誕生日パーティーだ、やれ花見だ、やれキャンプだと、呼ばれればどこへでもカセットコンロとフライパンを持参して、みんなに餃子を振舞ってきた自信とプライドが、このネットの書き込みのせいで、ガラガラと崩れ落ちることになったのです。

しかし、そのままでは終わらなかった(笑)。次の瞬間「ミュージシャンなら小金が貯まると『事務所兼スタジオ』を持ったりするけど、『事務所兼厨房』あるいは『事務所兼食堂』を持ってるヤツはいないはず。じゃぁ、私の餃子が食べたいと言う人が1000人集まったら、会員制の餃子屋をつくっちゃおうかな」そう彼は思い立ち、その頃ブームになりつつあったメールマガジンを創刊したそうです。

こうして「蔓餃苑オープンまでの道のり」を配信しつつ会員を募ったみたいですが、1000人集まるまでには、結構苦労もしたようです。詳しくは本書に譲りますが、このお店では「相席が当たり前」ですから、SNSなんて言葉が生まれるずっと前から、この蔓餃苑では"餃子コミュニティ"が出来上がっていたのです。

mixiでは、事前にどんな人と同席するのかもわかりますから、お店で会う前から会員同士のつながりが生まれているわけですね(*^^)v 事前情報もバッチリで、期待に胸を膨らませつついざ蔓餃苑へ。しかし、餃子が運ばれても、しばらくは誰もお皿に手をつけず、「撮影」に興じるのだとか。みなさんmixiやブログで発信するんでしょうね。

現在はもう会員募集を行っていないようですが、噂によると「会員に蔓餃苑に連れて行ってもらう」⇒「現地で『餃子のスゝメ』を購入しamazonやmixiにレビューを投稿」⇒ 「蔓餃苑のmixiコミュ管理人に入会希望メッセージを送る」という秘密(?)のルートがあり、ご本人をうならせるくらいのイケてるレビューを投稿した人だけは、会員に認定されるようですよ(*^_^*) 

ご本人が意図しているかは別として、こんなふうに「誰もがたやすくできない体験を提供する」という切り口は、とっても賢いと思いませんか? 「簡単に手に入らない」からこそ、それを手にした人は自慢もしたくなるし、思い入れを深めてくれるものなのです。「人間心理」の妙ですよね。参考にしてください(@^^)/~~~

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