大人の男の服装術
2011.06.20 08:43 written by ishihara カテゴリ:おすすめ本の紹介
知る人ぞ知る滝沢滋さんが、遂に本を出されました(*^^)v ご自身のレーベル「Ondata Takizawa Shigeru」の上質なスーツには、私も随分とお世話になっていますが、メンズクロージングの世界で25年の歳月を過ごされた滝沢さんが、「男の服装の本質」を伝えようと書き上げた一冊です。
折りしも今年は、夏場の電力不足への懸念から、環境省が音頭をとり「スーパークールビズ」が推奨されていますが、通勤のためのスーツと家で着るジャージしか持っていないお父さん方は、急に「ラフに」と言われても、かなり困っているみたいです。
最近、電車の中などでよく見かける、普段着ているワイシャツから単にネクタイを外しただけ・・・といったスタイルは、なんともいただけませんよね(ーー;) その点、フォーマルをバッチリ決められるセンスの持ち主は、着崩し方もひと味違います。つまり、男のおしゃれには「知識と教養」が必要なのです。
実際、「7割は体に合わない上着を着ている」のだそうです(@_@;) この本には、洋服の歴史から、スーツの選び方までがこと細かに解説されていて、こういうことを知ってる人と知らない人の間には、大きな差が生まれてしまうのがよくわかります。そういう意味では、本棚に1冊は置いておきたい本ですね。
おもしろいことに、今、世界中で一番スーツを着ている人が多い国は「日本」だって知ってました? 日本には制服文化が根付いていますから、スーツはある意味「ビジネスマンの制服」と化しているわけですが、そもそも本場のヨーロッパでは、スーツやジャケットに"生まれてきた意味"があるのです。
滝沢さん曰く、「男の服は、ビジネスやフォーマルの場で、男がまっとうに評価してもらうための道具」であり、ある意味「権威」「気高さ」「成功」の象徴であり、それをあえてひとつの言葉にするならば『礼節』という言葉で表されるべきもの、だそうです。
普段、当たり前のように毎日スーツを着ている日本のビジネスマンで、こんな発想を持っている人はほとんどいないんじゃないかと思いますが、今後ビジネスの世界で生きていこうと思うなら、当然のごとく世界のマーケットを相手に戦う時代になりますから、この機会にヨーロッパの服装のルーツやフォーマルな着こなしのルールなどを知っておいて損はないと思います。
わが国でも、古き良き時代の東映映画に出てくるような紳士たちは、ものすごくカッコよかったですよね。帽子をかぶったり、ポケットチーフをしたり・・・大正から昭和初期の時代の映画は、ヨーロッパからの知識に基づいてしっかりつくられていましたから、俳優さんたちもそれなりの素養を持って、ビシッと着こなしていたわけですね。
世の中全体がクールビズに流れる今だからこそ、逆にフォーマルをきちんと着こなすという用途やニーズも、際立ってくるんじゃないかと思います。モノゴトはみな「知ると知らぬは大違い」なのです。本書の最後にある滝沢さんの言葉は、とてもインパクトがありますよ(*^_^*)
・・・たかが服、されど服。最後は「自分がどういうポジションにいて、どういう仕事を成し遂げたいから、どういう服装をしなければならないのか」ということが、論理的に考えられる男にならないといけないと思います。そうでなければ、自分の価値を高める服は選べないし、もっと言えば人から評価される仕事もできない、というのはいい過ぎでしょうか。
この言葉に「ズキン」ときた方は、ぜひ読んでみてください(@^^)/~~~