奇跡の製造業 -潰れない会社を作るための5つのノウハウー
2011.07.13 11:18 written by ishihara カテゴリ:おすすめ本の紹介
今回のおすすめ本としてご紹介するのは、『奇跡の製造業』です。私の主宰する『高収益トップ3%倶楽部』の会員のみなさんには、先月の「FAXエクスプレス」でもすでにご紹介しましたが、このところ円高が加速し、さらなる厳しさと直面している製造業の経営者も少なくないと思います。
本書は、月刊誌「日経トップリーダー」が、過去に特集記事として掲載した企業の中から、10年後、20年後も確実に、そして輝かしい業績を上げながら生き残るであろう優秀な企業を選定して、書籍として再編集したものです。
売上げが半減しても潰れない「樹研工業」、日本の製造技術をデータベース化した「イプロス」、"世界一が否か会議"で常に世界目線の「マニー」など、この本に描かれている、独自のスタイルを元気に貫く経営者の姿には、大いに励まされることでしょう(*^_^*)
日本の製造業はまさに大変革期にさしかかり、同誌が「大倒産時代」といういささかショッキングなキャッチをつけるほど、大変な局面を迎えているわけですが、これからの時代、生き残るには"突出する"以外に道はありません。本書に登場する企業に共通するのは、「うまく行っている他社のマネをしなかった」ことに尽きると思います。
そういう視点で読み込んでいただくと、さらにおもしろいと思うのですが、右肩上がりの時代には、うまく行っている会社のマネをしていれば、大抵の会社は順調に経営していけたと思います。しかし、時代は変わったのです! いつも私が言うように、これからの日本のマーケットは縮小の一途をたどるわけですから、他社のリサーチを行うときも、マネするための調査ではなく「マネしないための調査」をしなければなりません。
栃木県宇都宮市にある医療機器メーカーの「マニー」などはまさにそうで、「世界一」にこだわる強い執念を持っています。それを支えるしくみが「世界一か否か会議」というユニークな会議なのですが、半年に一度開かれるこの会議では、社長以下経営陣が一同に会し、「品質」「価格」「納期」において「世界一」の水準になるまで開発をすすめていくよう指令を出すと言います。
また、以前『高収益トップ3%倶楽部』のゲストにも来ていただいた「イプロス」は、これまで業界や技術分野ごとに縦割りだった製造業の世界に、初めて横に繋ぐネットワークを構築した会社です。日本の製造技術をデータベース化したそのサイトは、今や日本のエンジニアの3分の1が利用する"お化けサイト"となっています。同社自体はものづくりをしているわけではありませんが、周辺ビジネスとして成功したとっておきの事例でしょう。
もうひとつ、これらの企業の共通項を探すなら、経営者がみな「会計」に強いことです。景気のいい時代には仕事がデキればうまくいったのですが、世の中が悪くなってくると、とりわけ「財務」に弱い経営者が舵取りをしている会社は、存続さえ危うくなってくるものです(ーー;) 本当に厳しい局面では、「売れるモノは女房以外すべて売る」くらいの覚悟を持つことが必要なのかもしれません(笑)。
それはともかく、この本をじっくり読むと、「経営者が信念を持つこと」の重要性に、あらためて気づかされます。独自のスタイルを貫いた経営者には、「衰退産業なんて関係なし」といった本物の強さがあるのです。ぜひ、本書からいい刺激を受け取ってください(@^^)/~~~