ブログ「石原明の経営のヒント」

スティーブ・ジョブズ

今月のおすすめ本は、今さら私がおすすめするまでもないですが(笑)、この世を去った後もなお、世の中に対して絶大な影響を与え続けている『スティーブ・ジョブズ』(全2巻)を取り上げてみました。

ジョブズ氏が取材嫌いだったことは有名な話ですが、本書は"唯一"全面協力した「ご本人公認」の決定版とも言える書籍です。まさに、最初で最後の一冊!! この本を読まずして、アップルもITの未来もそして経営をも語ることはできないって感じです。そういった意味で、今年最初のおすすめ本はこれ以外にない!と思ったわけです(*^_^*)


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ジョブズ氏をひと言で表現するなら「一時代を築いた天才経営者」ってことになるのでしょうが、とりわけ『マーケットに対して何をすべきか』を見極める力は、まさに"天才"と呼ぶしかないほどの人物だったと思っています。

たとえば、人がモノを気に入ると、どんな状態になると思います? 「体の一部」みたいな感覚ってわかりますかね? モノと自分の距離がとっても縮まるというか・・・それを持っている自分こそが自分らしいみたいな感じになりますよね。

それは製品の機能とかスペックなどとは対極の位置にある感覚で、初期のマックなどは「フリーズしても仕方ないよね。だってマックだもん♪」みたいな感じでユーザーに愛されていたんじゃないでしょうか。

きっとジョブズ氏自身も、アップルの製品と"一体化"していたと思います。それは彼の発言からもよくわかりますが、衝撃的なデビューを果たしたシースルーのパソコンiMacのアイコンに対して、「画面上のボタンまで美しく仕上げた。思わず舐めたくなるはずだ」などという名言を残していますよね。

こんな感覚を持っている大企業の経営者は、本当に稀有な存在だと思います。 「人がモノを気に入る」とは結構難しいもので、デザインはもちろん、価格、品質、手触り、重さ、匂いなどなど、様々な要素が複合的に作用していることを本当の意味で理解している人は、そう多くありません。

私自身の経験で言うと、ある時「自分へのご褒美」みたいな感じで、大好きなブランドの時計を買いに行ったんです。すぐにとっても気に入ったデザインの時計が見つかったのですが、その時計はシリーズの中で「2番目の値段」だったんですね(ーー;) 

その日は私にとって特別の日だったので、気に入った時計が一番高ければ、きっとすぐに買っていたと思います(笑)。しかし私は「2番目」だったことに、どうしてもひっかかってしまった・・・ユーザーの心理って、かなり複雑ですよね(>_<) 「人がモノを気に入る」状態とは、理論や理屈では説明しきれない領域にあるのです。

ある意味「嗅覚」のようなものかもしれませんが、ジョブズ氏には、マーケットが望んでいることを確実に嗅ぎ分ける力がありました。それがあってこそ、アップルの製品は、ここまでユーザーに愛されていったのだと思います。

ただ、悔しいのは「こうした経営者がなぜ日本から生まれないのか」ってことなんです。デザインも含め、細やかな感性という部分では日本人に勝る民族はいないのではないかと思っているんですが(現にアップルには優秀な日本人デザイナーが数人いるようですが)、そうした意味でも、ぜひ日本の経営者のみなさんには、この本を読んで「感じて」もらいたいのです。

もちろん、もうすでにお読みいただいている方も多いと思うので、みなさんの読後感などもお聞かせいただけると嬉しいです(@^^)/~~~

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