ブログ「石原明の経営のヒント」

メガネの自販機!? モノを中心に思考を拡げるJ!NS(ジンズ)

最近私が注目している企業のひとつに、低価格メガネチェーンの「J!NS(ジンズ)」を展開する株式会社ジェイアイエヌがあります。レンズ代込みで4,990円からという安さに加え、軽量メガネ「エア・フレーム」などの機能性を追求した商品展開で、若者層を中心に支持を集めていますが、同社が先月(2012年7月)、メガネの自動販売機を設置したのをご存じでしょうか?


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自販機で売っているのは、パソコン用に開発された『J!NS PC(ジンズピーシー)』というメガネで、パソコンやスマートフォン、テレビなどのディスプレイから発せられる「ブルーライト」を、最大50%カットして眼を守るという画期的な商品です。

ちなみに同社のホームページでは「ブルーライト」について、「可視光線の中で最もエネルギーが強く、眼の奥の網膜にまで届いてしまう青色光(380~495ナノメートル)のこと。体内時計を狂わせたり、眼に与える影響が懸念されています」と説明しています。

つまり、このメガネは「視力に関係なくかけてもらえる」わけで、だから自販機での販売も可能・・・これって、逆転の発想ですよね!(^^)!

使い捨てコンタクトの普及に加え、レーシック人気も重なって、メガネ業界の市場規模は、ここ10年で約3割縮小したといわれています。そんな中で「J!NS」は、5年後の国内店舗数を現在の4倍に当たる500店に増やす目標を掲げ、出店ペースを速めているのです。

なぜこんな攻めの経営ができるのかといえば、同社には『モノを中心に思考を拡げ、自らマーケットをつくり出せる力があるから』に他なりません。現に、メガネという商品に「視力矯正」の他に「ブルーライトから眼を守る」という強烈な機能を持たせたことで、自社の見込客を限りなく増やしてしまいました。

ブラウン管テレビに加え、液晶テレビ、パソコン、ゲーム機、スマホのディスプレイからは、少なくとも数倍の「ブルーライト」が出ているそうですが、現代社会の生活の中で、これらに全く触れないで生活している人を探すほうが難しいですよね。視力の悪い人、ファッションからメガネをかける人の数には限界があっても、テレビやパソコンをよく見る人を探すのには、何の苦労もいらないでしょう。

同社の田中 仁(たなか・ひとし)社長には、一般的な中小企業経営者にはない「視点の高さ」を感じてしまいます(*^_^*) 聞けば群馬県出身で、もとは前橋信用金庫(現しののめ信用金庫)出身だそうですが、長期的な目線を持ったビジネスプランの立て方には、とてもセンスのいい戦略思考の持ち主といえます。たぶん彼なら、メガネでなくとも成功すると思います。

この事例を参考に、「モノに新しい価値を与える=新たなマーケットをつくり出す」といった発想で、自社にも可能なプランはないか・・・暑いさなか、脳みそにも汗をかきながら、アイデアを出してみてください(@^^)/~~~


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