ブログ「石原明の経営のヒント」

海賊とよばれた男(上・下)

今回は「今こそ読みたい!『日本人の誇り』を考えさせられる1冊」として、かなり読み応えのある本をご紹介します。出光興産の創始者である出光佐三氏モデルに、『永遠の0』の百田尚樹さんが綴った本格歴史経済小説なのですが、私は発売後すぐに上下巻とも手に入れ、一気に読破してしまいました(*^_^*) 

何をかくそう、私は昔から出光佐三さんの大ファンでして、『評伝 出光佐三-士魂商才の軌跡』(プレジデント社)を読みながら考えた社名が「日本経営教育研究所」なんです! (ちなみにこの本はすでに絶版になっていて、現在6000円くらいで取引されていると思うのですが、私は古本を見つけると買っておき、ご縁のある経営者には必ず読んでもらうようにしているほどです)。

タイトルにある「海賊」という言葉からは、思わず『ワンピース』をイメージしてしまいますが(笑)、世の中には出光佐三さんのファンが多いのでしょう。この本は発売即、15万部を突破したようですよ。


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出光佐三さんをモデルにした主人公「国岡鐡造(くにおかてつぞう)」は、当時"産業の血液"だった石油のために、国内外の障壁と懸命に闘います。しかしそれは、自社の利益のためではなく、もちろん私利私欲のためでもなく、すべて日本という国の未来を考えてのこと。日本国の産業を支えるための闘いだったのです。本書全般を通して、彼の類稀なる決断力、確固たる意志、毅然とした態度に触れるにつけ、その『人称』の高さには鳥肌モノでした(*^^)v

加えて、国岡商店(出光興産)で働く社員たちとの深い絆も見逃せません。終戦後、戦地から引き上げてきた社員たちは、家に帰るより先に会社に帰ったほどですが、戦争で会社の資産をほぼ失ったというのに、鐡造はたった一人もクビにしなかったのです。

戦前の創立当初から、「就業規則なし・出勤簿なし・馘首(かくしゅ)なし・定年なし」を貫き、鐡造自身が睡眠時間を削って、毎日社員を教育する姿はまさにあっぱれです! 「このままでは会社が潰れてしまう。せめて社歴の浅い若い店員だけでも辞めてもらったらどうか」と心配する重役たちを尻目に、「店員は家族と同然である。社歴の浅い深いは関係ない。君たちは家が苦しくなったら、幼い家族を切り捨てるのか」と怒鳴るシーンでは、思わず胸が熱くなってしまいました。

経営者たるもの、常にこのくらいの覚悟が必要ですよね。この本には、「一経営者として」もっと言えば「日本人として」の誇りを荒々しく呼び覚ましてくれるような価値を感じます。みなさんもぜひ、読んでみてください。そして、自分の中に眠る「日本人の魂」を呼び起こし、閉塞感漂う日本のために、立ち上がってほしいと思います(@^^)/~~~

経営コンサルタント石原明 公式サイト 石原明.com
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