ブログ「石原明の経営のヒント」

僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。

今回ご紹介するのは、昨年(2012年)12月に東証マザーズに上場を果たし、世界中から注目を集めている話題の企業「株式会社ユーグレナ」の代表取締役社長、出雲 充(いずも・みつる)氏の本です。じつは先日、私が運営する『人称.jp』というサイトの対談企画で初めてお会いしたのですが、噂にたがわず優秀な経営者で、「地球の未来は明るいなぁ~」と、思わす嬉しくなってしまいました(*^_^*)

ちなみに、「ユーグレナ」とは「ミドリムシ」の学名。ミドリムシは淡水中に生息する微生物の一種で、よくミジンコと勘違いしてる人がいるんですが(笑)、ワカメや昆布などと同じ「藻」の仲間です。動物と植物の2つの生態を併せ持つ稀有な存在で、体内に葉緑素を持っていて光合成できるのに、動物として自分で動けるという不思議な生き物なんですね。


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なんと、ミドリムシの中には59種類もの栄養素があるそうですが、体内の油分はジェット燃料としても使える成分だと言われていて、さらに光合成するということは、二酸化炭素(CO2)を吸って酸素に換えてくれるわけですから、まさにこの本のタイトルどおり、ミドリムシが地球の食糧問題も、エネルギー問題も、そして環境問題をも、あっさりと解決してしまう可能性があるわけです。

これは、学者の間ではずいぶん前から知られていたこと。当然国家レベルのプロジェクトも進んでいたわけですが、「ニューサンシャイン計画」として巨額の資金を投じて20年にわたる研究を進めても、誰一人としてミドリムシの屋外大量培養を成功させることができなかったのです(ー_ー)!!

そんな偉業が、なぜ同社にはできたのか?・・・ここに経営のヒントがあるんです!出雲社長は東大農学部出身ですが、じつは彼自身はこの研究に一切携わっていなかったのです。出雲社長がしたことは、研究者の報告を聞きながら、毎日毎日「まだできないのー!?」と言って、ポテトチップをかじってただけ、だそうです(笑)。

この話を聞いて、私は思わず「スゴイ!!!」と叫んでしまいました。とかく研究開発は優秀な研究者や技術者を集めればできると思われがちですが、それが優秀なプロ集団であればあるほど、これまで誰もできなかった難解な研究に対しては、彼らの頭脳が理論的に「これは無理」と判断し、無意識に脳にストッパーをかけてしまうようなところがあるんです。

ところが、脇にいる素人が「えー、なんでできないの??」「アホじゃないの、できるに決まってる!」なんて言い続けていると、研究者の思考回路にバイパスがかかったかのように、突然変異的にスゴイものができたりするんですね。私は過去に、製造業関係で、こうした事例をたくさん見てきました。

本書には、事業を立ち上げた当時のことなどが詳しく書かれていて、書籍としても素晴らしいクオリティですので、将来的に起業を志す人はもちろん、いつかは自分も本を書いてみたいなんて思っている人は、ぜひ読んでみください。出雲社長の考え方や経営のセンスは、かなり刺激になると思いますよ。

ユーグレナについては、私の主宰する『高収益トップ3%倶楽部』の会員向け月刊誌「経営情報レポート」(Vol.143 2013年4月18日号)でも取り上げました。会員の方には、まもなくお手元に届くと思いますので、こちらも合わせてお楽しみくださ~い(@^^)/~~~

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