人気を呼んだ神保町・書泉グランデの「リアル脱出ゲーム」
2013.05.16 14:38 written by ishihara カテゴリ:トレンドウォッチ|発想転換のツボ
私のオフィスからもほど近い神保町の書店「書泉グランデ」で、この春ちょっとしたムーブメントが起こっていたのをご存じでしょうか? 書店の店舗をまるごと使ったリアル謎解きゲーム「本屋迷宮からの脱出」を5月5日までの予定で開催していたのですが、あまりの人気ぶりに12日まで期間を延長したほどでした(*^_^*)
この企画は3月29日からスタートしたのですが、初日3日間で1200人以上が参加。ネットなどで「おもしろかった!」という参加者の評判が徐々に広がり、4月半ばを過ぎると、休日には入場整理券を配るほどの人気ぶりだったようです。
このイベントは、リアル脱出ゲームのプロデュースで知られる「SCRAP」とタッグを組んだ企画だったようですが、本屋さんでリアル脱出ゲームを行うのは、全国でも初の試みだったとか。参加費は、ゲームブック代の1050円のみで、その本を片手に書店内を回りながら謎を解いていくという体感型イベントです。
ご存じのように、長引く出版不況に加えて最近はネットで本を買う人も増えましたから、どこの本屋さんも"集客"に賢明なわけですが、脱出ゲームで人を呼ぶとは、かなりおもしろい発想だと思います。謎解きには早い人でも2時間はかかったようですから、各フロアを回るうちに、これまで見たこともないような本と、偶然の出会いをした人も多かったと思います(*^^)v
今どきの消費者はもう、普通の消費に飽き飽きしています。欲しいのは「モノ」より「コト」。とりわけ「何をやって時間を過ごすか」という選択にはとてもシビアになっているのですが、"特別な体験"をさせてくれる時間には、惜しみなくお金を使ってくれるのです。私が主催者だったら、ゲーム参加費を3,000円くらいに設定したかもれませんね(笑)。
脱出ゲームは、新卒採用や新人研修の一環に取り入れる企業もあるほどですが、謎解きという「知的作業」のおもしろさと、謎が解けた時のえも言われぬ爽快感は格別ですよね。それを一度体験した人は、またどこかで体験したいと思うはずですが、本屋さんというのは、もともと「知的好奇心を満たす場所」なのですから、それを刺激するしかけがあれば、もっとにぎわいをみせるはずです。
これからの時代、本屋さんに限らず、単にモノを並べて売っているだけのお店では、高い家賃を払って「リアル店舗」を続けるメリットはなくなっていくでしょう。この事例を参考に、リアル店舗が生める本当の価値とは何か・・・楽しみながら発想を拡げてみてください(@^^)/~~~