ブログ「石原明の経営のヒント」

映画館にリピーターを♪ 『アナと雪の女王』大ヒットのしかけ

すでにハマっている方も多いかもしれませんが(*^_^*) ディズニーのアニメーション映画『アナと雪の女王』が大ヒットを飛ばし、その興行収入を伸ばし続けています。

先週末には、同作品の全世界興行収入が12億1900万ドル(約1241億8000万円)を超え、全世界歴代映画興行収入「第5位」に躍り出たそうですが、おもしろいのが、アメリカ国内興行収入が約4億ドル(407億5000万円)なのに対し、海外興行収入が倍以上にあたる約8億1800万ドル(約833億4000万円)もあること(@_@。 

さらにそのうちの1億9400万ドル(約197億6000万円)近くが日本での興行収入だそうですから、日本での驚異的な大ヒットがランキングアップに一役買っているわけです。


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私は映画評論家ではないので(笑)、この作品を評価するつもりはありませんが、『白雪姫』や『美女と野獣』のような伝統的なプリンセスものでありながら現代に通じるストーリーであること、幼少期以来ずっと抑えられてきた障害から解放されていく歓びは、万人共通の琴線に触れたのではないでしょうか。

また作品の画風もかなり現代的で、 ディズニーは日本のアニメを相当研究してるんじゃないかと推測しますが、経営的視点で見ると、同社のアニメ部門を率いるジョン・ラセター氏のセンスとその手腕は、類稀なる才能だと思っています。

ラセター氏は、もともと「ピクサー・アニメーション・スタジオ」のクリエーターで、世界初の長編CGアニメ映画『トイ・ストーリー』を監督し、ピクサーを世界的なCGアニメスタジオに押し上げた人物です。

2006年にウォルト・ディズニー・カンパニーがピクサーを買収したことから、同氏はディズニーとピクサー両スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任したわけですが、ここだけの話、彼の才能ごと手に入ったディズニーは、相当ラッキーだったんじゃないでしょうか(*^^)v

また、劇中歌「Let It Go」の圧倒的な魅力は、この作品の大ヒットと切っても切れない関係にあると思っているんですが、世界25の国と地域それぞれの言語でエルサ役を演じた女優陣が歌った「Let It Go」をメドレーにした「25か国語版ミュージッククリップ」を公開したあたりも、戦略としてさすがですよね。

このミュージッククリップの制作にあたっては、印象的なサビ「レリゴー♪(Let It Go)」を誰に歌わせるかは相当悩んだんじゃないかと思いますが(笑)、なんと!一番最初のサビを歌ってるのは、日本の松たか子さんなんです。

それにしても、「Let It Go」を「ありのままの~」「ありのままで~」と訳したセンスは秀逸ですよね! 日本語訳をしたのは高橋 知伽江さん。劇団四季や新神戸オリエンタル劇場での勤務を経て、現在はフリーランスで演劇台本の執筆、翻訳、訳詞などを手がける方だそうですが、あらためて日本語の歌詞を読んでみて、「なるほどねぇ~」と感心してしまいました。

この作品のテーマは、ありのままの自分を受け入れ、自分らしい自分になって、自分の力を思い切り使って生きていくことにあるわけで、以前私がやっていた成功哲学セミナーや処女作である『成功曲線を描こう。』とも通じるこうした普遍的なテーマは、時を経ても決して色あせることがありませんよね。

日本にもこの歌から勇気をもらった人がたくさんいるんじゃないかと思いますが、TOHOシネマズなどの複数のシネコンで、観客が映画を見ながら一緒に歌える「シング・アロング版」が上映されていて、一度映画を観た人たちがリピーターとして劇場に足を運び、楽しんでいるみたいです♪

といっても、シャイな日本人のこと・・・映画館で自分をすっかり解放して歌える人はなかなか少ないようですが(笑)、YouTubeなどには「アナ雪を口パクで歌ってみた」系の動画が数多く投稿されていたりして、ひとつの作品を「自分ごと」として何度も楽しむ環境ができあがりつつあるようです。

ビジネスでもそうですが、「一度買ってもらったら終わり」では、長期的なヒットは望めません。やはりロングランにはしかけが必要で、そういった意味でもこの『アナ雪』の大ヒットから学べることは多そうです。経営者の視点で、自分なりに分析してみてはいかがでしょうか(@^^)/~~~

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