アンのゆりかご 村岡花子の生涯
2014.08.19 14:15 written by ishihara カテゴリ:おすすめ本の紹介
今回は、現在NHKの朝ドラで放映されている「花子とアン」の主人公・村岡花子さんの生涯を、お孫さんである村岡恵理さんがお書きになった新潮文庫の1冊をご紹介したいと思います。
この本には、決して裕福とはいえない育ちの中で、自らの内に眠る想像力と感性を育み、当時としては大変珍しい女流翻訳家として成長していった花子さんの姿が、とても魅力的に描かれています。
NHKの朝の連続テレビ小説といえば、「あまちゃん」の大ヒットが記憶に新しく、ドラマが終了した当時は「あまロス」などという言葉も流行りましたが、あまちゃんの平均視聴率が20.6%だったのに対し、後番組の「ごちそうさん」は、それを上回る22.3%をたたき出し、今回の「花子とアン」はその上を行くのではないかと、数字のほうでも注目を集めているようです。
それにしても、15分番組というのは絶妙な枠で、朝の忙しい時間に30分~1時間テレビの前に座っているわけにはいかないけれど、「15分ならまぁいいか」と、習慣化されやすい長さだと思います。
そして人間は一度習慣化すると、後は考えずに同じ行動を取ってしまうもの・・・つまり、その枠でヒット作を出せば、後番組はとても有利なわけですね(*^^)v
NHKさんも、「あまちゃん」の大ヒット後、千載一遇のチャンスとばかり番組制作に力を入れているのでしょうが、そのおかげもあってか、今や出版界には、ドラマのヒットで後発的に本が売れるという"逆マーケティング"現象が起きているのです。
従来は、秀逸な小説があって、それがドラマ化されたり、映画化されたり・・・という流れだったと思うのですが、今回の『赤毛のアン』関連書籍も、たぶん昨年とは比較にならないくらいの売れ行きをみせているはずです。
まぁ、きっかけはどうあれ、マーケットが動いて本が売れ、しかも普段はビジネス書しか読まない層が「小説」を手にとってくれるなら、大変喜ばしい現象だと思います。最近のメルマガでもお話しているとおり、読書は教養や人格をつくる上で、とても重要な役割をしめているからです。
それにしても、この本を手にして、改めて「100年先の人にも読ませたい内容は紙で残しておくべき」だと思ってしまいました。たしかに電子書籍もいいですが、みなさんにはぜひ、紙でこそ味わえる質感を大切にする、筋金入りの読書家になってほしいところです(@^^)/~~~